36部分:第三十六章
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第三十六章
「何か忘れてません?」
「何かとは?」
「はい。何か忘れてません?」
こう博士に対して尋ねるのであった。
「何か」
「はて」
だがとう問われても首を傾げる博士だった。
「何かあったかのう」
「覚えてませんか?」
「わしは些細なことは忘れるからのう」
実に自分にとって都合のいい頭脳である。
「じゃからなあ」
「そうですよね。実は僕もなんですよ」
そして小田切君も忘れてしまっているのだった。
「何かここに来たのに理由があったような」
「何だった?」
「いや、僕もちょっと」
ライゾウもタロも覚えていないのは同じであった。彼等にしろ何でここに来たのかさえも覚えていないのであった。しかも全く、という言葉までつく。
「何だった?」
「ちょっと記憶が」
「そうだよね。何だったかな」
彼等もどうしても思い出せなかった。誰も思い出すことができなかった。
そして博士もまた。ここで言うのだった。
「さて、パエリアでも食べるとするか」
「博士の好物のあれですね」
「うむ。料理はまずはスペインじゃ」
これが博士のこだわりであった。料理とワインに関してはかなりのこだわりがあるのが彼なのである。他にもイタリア料理が好きだったりする。
そのスペイン料理を食べたいと言いながら博士は今。大阪城を出た。
その後ろにはまだヒデヨシがいた。しかし彼はもう後ろは振り向かなかった。
「引き分けじゃな」
「引き分けですか」
小田切君は博士のその言葉に対して突っ込みを入れた。彼にしろライゾウとタロにしろもう大阪城を出ていた。やはり振り向くことはなかった。
「今回もな。しかし次はこうはいかんぞ」
「ってまだやるんですか」
「機会があればのう。じゃがそれは今ではない」
まさに幸いにして、であった。世界と人類にとって。
しかしだった。それでも博士は言うのだった。まるでピクニックに行くような表情で。
「今度はあれを作ろうか」
「あれっていいますと?」
「あの県のマスコットじゃな」
博士の脳裏にまたしても不吉なものが宿るのだった。
「あれを巨大ロボットにしてみるかのう」
「今度は巨大ロボットですか」
「他にはあれじゃな」
博士のとんでもない構想は巨大ロボットだけには留まらないのだった。それだけで終わるような博士ではない。これもいつものことである。
そしてその恐ろしい構想を胸に今。博士は言った。
「戦闘員の様に人間程度の大きさのロボットを作ってのう」
「何かまたとんでもないこと考えてるんですね」
博士の常なのでこれはすぐに察することができた小田切君だった。
しかしそれ以上はというと。とんと予想がつかず。彼は首を傾げながら言うのだった。
「それで今度は何を」
「世界
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