35部分:第三十五章
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第三十五章
「元の時代の大阪にね」
「よし、じゃあそうするか」
「そこにいてもおかしくないしね」
彼等もそれに頷く。そうしてその首輪に腕時計に手を触れてそのうえで時空を超えるのであった。そこから辿り着いたその場所は。
やはり元の時代であった。彼等はそこに戻って来た。その彼等が見たものは。
「あれっ、やっぱり」
「ここにいたんだな」
見れば博士がいた。大阪城の前に。タイムスリップする丁度その前と同じ状況で。彼はあのヒデヨシと対峙していたのであった。
「ふむ。今回もどうやら」
「引き分けのようじゃな」
そして彼等の間だけで自己完結していた。
「見事な術じゃったぞ」
「そちらこそな」
「何か勝手に終わったな」
「そうだね」
そんな二人を見てライゾウとタロが話をした。
「どうする?これで終わりか?」
「みたいだけれど」
「まあそれでいいんじゃないかな」
小田切君の言葉はかなり投げやりなものであった。
「それじゃあもうそれで」
「そうだよな。幸い実害はなかったしな」
「そうだね」
ライゾウもタロもこれで納得するのだった。
「それならこれでいいか」
「色々あったけれどね」
とりあえずこれで終わって欲しかった。これが本音である。
そうして終わろうとしたその時だった。博士が言うのであった。
「それではじゃ」
「何じゃ?」
「わしは気が向けばまたこの街に来る」
こう言うのである。
「よいな。また来るからのう」
「来るつもりか」
「左様。楽しみに待っておれ」
高らかに言うのであった。
「その時をな。それでどうじゃ?」
「よかろう」
そしてヒデヨシもそれに応えるのであった。
「何時でも来るがいい」
「そうか。その言葉覚えておくぞ」
「わしは何時いかなる場合でもじゃ」
ヒデヨシの宣言はさながらどこかの魔性の闘魂を持つ天才レスラーであった。
「どのような相手の挑戦も受ける」
「それはわしもじゃ」
これは博士も同じなのであった。
「そして徹底的に叩き潰す」
「その通りじゃな」
またしても顔を見合わせて互いに言い合うのであった。
「それは次じゃ」
「次こそは御主を倒すぞ」
またしても互いに言葉をかけていく。
「よいな。それではじゃ」
「今はこれで別れようぞ」
こう言葉を交えさせてそのうえで別れた。博士はヒデヨシに背を向けるとそのまま立ち去っていく。そうして小田切君達の方に歩いてきて言うのであった。
「さて。それでじゃ」
「はい」
小田切君がその言葉に応える。
「帰るぞ」
「帰るって研究室にですか」
「他の何処にそうした場所があるのじゃ」
かえってそう聞き返すのであった。
「ないじゃろ。違うか」
「まあそうですけれどね」
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