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御使いのいる家 ぱ〜と2
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サクリファイ姉の下着姿を見慣れたせいで異性への感覚がマヒしている訳ではない。あの人本当に手間かかるな……。

「ぶー。つまんないのー……」

 俺の反応が芳しくないのに気付いたテンプティはなにから不思議な力を使って全身から滴る水分を振り払った。あれが多分御使いの力なのだろう。しょーもない事に使いおって、そんな使い方が出来るんならもっとお金になる事に使えよ。世の中には稼いだお金を借金返済に持って行かれ続けて苦しんでる人もいるんだぞ。
 
「こっちの世界には『揺れる天秤』の適合者(リアクター)候補がいっぱいいるんだね〜」
「???……よく分からんが、多分何かが違うと思うぞ」
「はぁ〜……ゼータク計画もパァかぁ。なんか走ったから疲れたしお腹減った〜!なんか食べて帰ろ〜?」
「お前らの所為で金がないってのにムダ金が使え――」

 るか、と言いかけた刹那、グウ……と腹の虫が反乱を起こした。
 よりにもよってこのタイミングでの謀反。何故だ、何故なんだ胃袋。お前とはお母さんの腹の中にいた頃からの長い付き合い、古女房みたいなものだろう。どうして、どうしてこのタイミングで裏切ったァァァーーーッ!!
 チラッと横を見ると、テンプティが愉悦と期待の入り混じった目で口元を押さえている。こいつ、肩を震わせて笑いをこらえてやがる……!途轍もなく癪な話だが、事ここに到ってテンプティの意見を突っぱねるには胃袋の分が悪い。
 一つ大きなため息をついた俺は、財布の中身と相談してなるだけ低予算でお腹を満たせる計画を立てた。

「……………ここから二件先にミニドーナツの美味しいベーカリーがある」
「買ってくれるの!?わぁ〜い!ミツルだぁ〜い好きっ♪」
「畜生負けたぁっ!!って、ちょっとお前、くっつくな!!もし万が一同級生に見られたら春休み明けにあらぬ誤解を……引っ張るなっつーの!!」

 こうしておやつにドーナツを買い、ついでに慈悲の心で他の連中分のドーナツも買ってあげたその帰り道で。

「ぬう!こんな所にまで空き缶を捨ておって!まったく度し難い……なんだこの煙草の吸い殻の山は!さては灰皿の中身を車から捨ておったな!ええい、まだ『獣の血』の途上とはいえ何故こうも自分の星を汚せるのだ!!」
「ドクさん、そろそろ集合時間ですよ?」
「先に行っておれ!我はこの雑木林の塵を全て駆逐するまで戻らぬ!!」
「ど、ドクさん……何が貴方をそこまで掻きたてるのです!?ただの町内会のゴミ拾いですよ!?」
「愚か者!!この街は我が君臨する地であり、貴様等の過ごすはじまりの地でもあるのだぞ!?それをこのような薄汚い塵で汚したまま過ごすなど怠慢極まりない!!我はこの強い怒りを以ってこの町を世界一美しき町へと作り変えるまで活動を辞めぬッ!!」
「ど、ドクさん!!アンタって
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