第49話 悪魔との対峙
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ど暮らせど女は現れる事はなかった。
(どうしたというのだ。まさか、新政府軍に・・・)
そんなことを思うと胸が張り裂けそうに痛んだ。最早、近藤は女の体の虜になっていた。
「近藤殿、お久しゅうございます」
青白い光がともったと同時に人の影が現れた。
「天草四朗」
近藤は天草を睨みつけた。
「あの女はもうここには参りませんよ」
天草はにやりと微笑んだ。
「まさか貴様が!!」
近藤は虎徹を抜いて天草へ向けた。
「あの女はいい忍体になりました。近藤殿、今度は貴方様が蘇ったときお会いいたしましょう」
刀を抜いた近藤を前にしても天草はひるむことなく微笑んだ。その微笑みは何故か天使にさえみえる。
「女を返せ、天草」
近藤はじりじりと間合いを詰めた。
「近藤さん、どうしたんだ?」
その時、土方の声が聞こえた。
「おぉ、としさん、いいとこに来た。そいつを逃がさないでくれ」
近藤は土方に支援を頼んだ。
「そいつ?」
土方は近藤の前にいる男をみつめた。
「お前、何者だ?」
土方の本能が危険を察し、愛刀・兼定ではなく典太の方を抜いた。
「ほう、柳生十兵衛の剣・典太とは忌々しい。我が名は天草四朗時貞。いずれ決着をつけましょう。貴方様のお名前は?」
天草の目が金色に光った。
「新撰組副長・土方歳三だ。もしや。貴様か、土佐の岡田以蔵や長州の高杉晋作。そして、坂本龍馬まで生き返らせたのは?」
土方の問いにくすっと天草は微笑んだ。
「私ではありません。ですが、私にも協力者がおりまする。では、近藤殿、土
方殿、また後程」
天草が再び青白い光に包まれ始めた。
「待て、天草!!」
近藤の攻撃と同時に土方も天草へ襲い掛かった。が、一歩遅く天草は消えていってしまった。
「くっそー、あまくさぁー!!女を、俺の女を返せ!!」
近藤の涙が交った怒号が夜空に響き渡った。
「こ、近藤さん、あんた・・・・・・」
土方はその近藤の姿を見て絶句するのだった。
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