暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
109章 ノーベル賞の大村智先生の話で盛り上がる 
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
109章 ノーベル賞の大村智先生の話で盛り上がる

 4月9日。最高気温は23度ほど、暖かな曇り空の土曜日の昼の12時。

 JR渋谷駅、緑の植木と低い竹垣(たけがき)(かこ)まれた広場の、
忠犬ハチ公の銅像の前に、川口信也(しんや)たちが集まっている。

 信也と、彼女の大沢詩織(しおり)、信也の妹の美結(みゆ)利奈(りな)
信也の飲み友だちの新井竜太郎と、彼女の野中奈緒美(なおみ)
竜太郎の弟の新井幸平(こうへい)
マンガ家の青木心菜(ここな)と心菜の親友の水沢由紀(ゆき)の、9人だ。

 みんなで、スクランブル交差点を渡ってすぐの、レストラン・デリシャスへ行く。

 デリシャスは、竜太郎が副社長をしている、エターナルの経営で、
世界各国の美味(おい)しい料理やドリンクを提供する多国籍料理のレストランだ。

「ハチ公って、ご主人の()くなったあとも、10年間も、毎日この渋谷駅に来ては、
(あらわ)れない帰らないご主人を待ったのね。
ご主人に忠実(ちゅうじつ)なハチ公の姿を想像すると、涙が出そうよ!」

 どっしりと凛々(りり)しく(すわ)っている忠犬ハチ公を見つめる大沢詩織が、
信也やみんなを見ながらそう言う。

「ハチ公の主人を(おも)う気持ちには、おれも感動しますよ。
ハチ公は、生前(せいぜん)から、新聞、ラジオなどの報道で、有名になったんですよね。
それで、町の人たちから、ハチ公の銅像を建設しようという声が出始めたんですよ。
この銅像の除幕式には、ハチ公も渋谷の駅長さんと一緒に見守っていたんですよね」

 犬とか、動物が大好きな新井幸平が、大沢詩織にそう言って微笑(ほほえ)む。 

「幸平さん。ハチ公って、何歳で亡くなったんですか?」

 美結(みゆ)が、新井幸平にそう聞く。

「13年間で、13歳ですよ。ハチ公は、()にうつされる寄生虫のフィラリアで、()くなりました」

「ハチ公もフィラリアで亡くなったのね」

 利奈(りな)はそう言って、姉の美結(みゆ)と目を合わせる。

「でも今は、大村智(さとし)先生の『寄生虫による感染症の治療薬の発見』で、
フィラリアで亡くなるワンちゃんが少なったのよ!
利奈(りな)ちゃん、美結(みゆ)ちゃん、由紀(ゆき)ちゃん」

 マンガ家の青木心菜(ここな)は、利奈や美結や、
親友でマンガ制作のアシスタントをしてる水沢由紀(ゆき)と、目を合わせて、そう言った。

「大村先生って、日本のレオナルド・ダヴィンチって、呼ばれているわよね、すごいわ!」

 由紀はそう言って、心菜に微笑(ほほえ)む。

 マンガ家の心菜は、絵画の愛好家としても有名な、
『科学と芸術の融合が人類を幸福にする
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ