109章 ノーベル賞の大村智先生の話で盛り上がる
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』を信条の1つにする、
ノーベル生理学・医学賞受賞の大村智を格別に尊敬している。
信也たち9人は、レストラン・デリシャスの、
白を基調としたお洒落な個室で、寛いだ。
テーブルには、ジュースやワインや生ビール、ホタテの生ハム巻きなどの料理も並んだ。
「しんちゃんの故郷の韮崎市から、
大村智先生のような、おれたちの希望の光となるような素晴らしい人が現れるとはね!
大村先生の、自分の利益や得とかは二の次にして、
『若い人を育てる』という未来を見すえる経営哲学には、おれも感動するんですよ。
あと、『自然と芸術は人間をまともなものにする』と言っていることとかにも。
これは、ローマ時代からの言葉だと、大村先生は言ってますよね。
この考え方って、吉本隆明さんの考え方とも、ほとんど一致しているよね。
ね、しんちゃん。あっはは」
エタナールの副社長の新井竜太郎は、そう言って笑った。
「そうですよね。優れた人が考えることは、一致するか、似てくるんでしょうね。あっはは。
吉本隆明さんは、『ほんとうの考え・うその考え』という本の中で、
詩人で童話作家の宮沢賢治の考えや、
フランスの女性の哲学者、シモーヌ・ヴェイユの考えを引用しながら、こんなことを言っています。
『科学でも芸術でも、一流の人の到達する考え方は、その到達点は、
普遍的な真理の場所で、そここそ≪ほんとう≫の第一級の場所だ』と言っているんです。
そして、『いかにして、その真理に近づくかという考えだけがあれば、
そこへ到達できるんだ』とか言っています。
この考え方は、ヴェイユの考えたことで、ヴェイユの最後の到達点らしいんです。
吉本さんは、このヴェイユの最後の到達点を、
『たいへん、わたしたちに希望を抱かせます。』と、その本の中で、語っているんですよ」
そう言い終わると、信也は、みんなに微笑んだ。
「いい話だね。みんなの考えが一致する、そんな普遍的な真理の場所って、きっとあるんだよ。
吉本さんが言うように、希望がわいてくるなぁ!」
竜太郎がそう言った。
「今度、みんなで都合を合わせて、韮崎の大村美術館に行きませんか!
ここからなら、中央高速をクルマで、約2時間30分ですよね。ね、しんちゃん」
マンガ家の青木心菜は、そう言って、信也や竜太郎に微笑んだ。
「そうですね、心菜ちゃん。いい考えですよね。今度、みんなで、行きますか!
美術館の隣には、みなさんが楽しめるようにと大村先生がつくった、
蕎麦屋と温泉もありますよ。先生の自宅も、そのすぐ近くなんです」
信也は、心菜やみんなを見なが
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