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剣士さんとドラクエ[
30話 道中2
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までも続いて欲しかった。戦いなんて無い方がいいに決まっている。

 魔物が出ないので別にトウカが単騎突撃しながらどこかへふらっと行ってしまうこともなく、普段前衛の僕やヤンガスが怪我をすることもなく、それがとても嬉しかった。

「……気楽だな」
「何時もはこんなことにはならないのよ?」
「そうだろうな、見ている限り」
「ああ、あれのこと?」

 ゼシカが指し示して居るのはトウカとヤンガスだった。例の、身長程もある、とてつもなく重い大剣を右手に構えながら魔物の出現を待ち望んでうずうずしているトウカと、武器こそ抜いていないものの、やっぱり何かうずうずしながらトウカの隣で周りを見回すヤンガス。

 ヤンガスは最初はそうでもなかったんだけど、トウカを尊敬するあまり、行動を共にしているうちにトウカのバトル好きが少し、うつったみたいだ。長年トウカと一緒の僕も戦いというか、試合なら好き(ただし主には観戦)だからうつるんだろうか、戦闘狂って。 なにそれ怖い。

「普段は戦い漬けだった証拠みたいなもんだろ」
「そうね……あたし、短期間であれだけ強くなれるとは思ってなかったわ」

 ……主にリーダーである僕のいたらなさと、トウカの強行突破がゼシカに多大な迷惑をかけていたみたいだ。もう少しペースを緩めるべきか、それとも魔物を地域で絶滅寸前まではいちいち追い込まずに進もうか。

「全く……人は見た目によらないのは知ってたつもりなんだが、こうも顕著とはな」
「……どういう意味かしら」
「さてな。ま、レディの美しさは違わなかったようだが」
「…………」

 流れるように人を口説くようにさらっと誉めるククールにはいっそのこと感心する。会話を聞いていたのか、ヤンガスが忍び笑いをしている。僕も……ちょっと台詞が臭いと思う。正直、ククール並みのイケメンじゃなかったら許されないよね。……イケメンでも許したくないのに。

 意外にもトウカは笑うでもなく、ゼシカのように顔を歪めるでなく、無反応だったけど。……ああ、トウカも割とああいう台詞を吐く人間だったね。まぁ、私欲じゃなく、必要な協力や情報を得るためだけにだけど。あれは立ち振る舞いが優雅なトウカでも許されるよね。僕は絶対にやりたくもないし、やったところで白い目で見られること必至だけど。

「ゼシカが性格も見た目も美人で素晴らしいレディなのは今更じゃないか、何言っているんだ。分かりきったことを何度も言っても安っぽいよ?」
「……そうかい」
「ククール、君を非難しているわけじゃない。ただ、ゼシカが美しいことは周知の事実。彼女が不必要に恥じらう事はない。…………、うん、似合わない台詞ごめんね。なんか、歯が浮く言葉を聞かされてみたらククールもきっと客観視出来ると思ってさ……ああ、鳥肌立った……」

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