30話 道中2
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柄なのか。見た目と強さのギャップはお国柄なのか。トロデ王も王に見えない姿をしているし、そうなのか。
「あ、この料理は肉じゃがっていうんだよ。ヤンガスもゼシカもククールも知らないみたいだけど」
「どうやったらこんな味になるの?」
「秘密だよ、エルト」
「そう……」
そっと、肉じゃがというらしいが、初めて見る料理に口を付けた。繊細な性格とは言いがたいトウカ味付けの料理……不安だ。と、思っていたんだが。
なんであいつは女じゃないんだ。おかしい、世界はおかしい。そう思うほど、料理が美味かった。世界はおかしい。不条理にも程が有るだろ。
「なんかククールが挙動不審よ」
「ボクが料理下手だと思って警戒してたんじゃないの?」
「トウカの兄貴の料理が不味いわけないでがす」
「器用に百面相してるなぁ……」
こそこそと耳打ちし合っている内容が、何となく胸に突き刺さった。いっそ、無邪気に思えるほど色んな感情が渦巻いているトウカの目が少し、細められた。 黒色がこちらを見据えて離さない。
「警戒してるの?」
「……は?」
「え、違うの?なんか、覇気がないし」
覇気がない、か。それは問いかけてきているトウカの性別のせいである気がするんだが……自業自得なので黙っておく。単に、明らかに一撃で俺を葬れる力をトウカが持っているからな気がするが。俺はいつからそんなに臆病になったのか。
「出会って日が浅いからじゃないか?」
「そうかな。ボクね、人見知りはする方だけど警戒解くのは早いから、その気持ちは分からないや」
言い切るとパクリと人参を食べて幸せそうにした。もうこれなら男でも女でもいいやと思わせる……守りたい想いが湧き上がるような、ふわりとした笑顔で。いやいや、何度も思っているが、トウカの方が俺より強いんだ。何を考えた、俺よ。気をしっかり持て。
隣にはゼシカという魅力的なレディがいるんだ、何、童顔の少年に見とれているんだ。明らかに年下だろう。……そういえば年齢を酒場で言っていた気がする。……確か、トウカが十八歳だったから、……二つ年下か。何で俺は年齢の対して変わらない野郎に一喜一憂してるのか。
「トウカは見極めが早いんでしょ」
「そうとも言うね」
ああ、でも、それでもなお、可愛らしく見えるのは俺の頭がおかしいに違いない。
・・・・
休憩と食事を終わらせたのでまたアスカンタへ向けて進む。トウカは休憩の時に聖水を撒き散らしまくっていて、少し服が被ったからか、魔物が寄ってこないと不満げだったけど、魔物が居なくて戦闘もない、実に快適な旅路だった。
ドルマゲスを倒すためには今のままじゃ駄目で、もっともっと強くならなくちゃいけないのは分かっているけど、こんなに平和なのは久しぶりで何時
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