30話 道中2
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しておく。こういうときは軍手変わりに手袋をしてるのがすごく助かるなぁと実感できるね。草むしりしたら地面に岩をめり込ませながらも岩を砕かないように注意して岩をぶっさして組み立てた。おまけに綺麗に作った一枚の岩に正拳突きを食らわせて真ん丸の穴を開けたプレートを置けばコンロさながら、間違っても即席には見えないかまどの出来上がり。ちゃんと空気の隙間を考えて組んでみたから完璧完璧っと。
一連の行動を見ていたエルトがぼそっと、誰がそこまでやれって言ったよ……的なことを言っていた。いいじゃないか、水汲みや薪拾いより先に終わってるんだから。この間五分。
「どうだ!」
「……いっそ芸術的だね、かまどなのに」
「褒めてるのか貶してるのかいまいち分からないんだけど」
「褒めてるよ」
「呆れ三割ぐらいで?」
「勿論」
それは軽く貶してると私は思うな。まぁいい、悪意はないし、エルトだから。最近エルトはなんか冷たいというか、なんというか。多分旅で疲れてるのに私がいろいろやらかしているからだと思う。自覚はまあまああるけど……止めてあげるつもりはないからエルトの言動にいちいち何も言わないでおく。
「さて、何しようかなぁ……」
エルトは料理を作るのが割と好きだ。だから傍目から見ても楽しそうに下ごしらえをしている訳。邪魔したくはないんだ。多分申し出たらやらせてくれるんだろうけど……。なんか悪い気がして。本格的に始めるときには大変だろうから手伝うけど。何をしようか……水も薪もみんなが用意するしなあ……。
「そうだ、包丁を研ごう」
「止めてよ」
「なんでさ?ボクは武器の手入れをするためにわざわざプロからやり方を習ったっていうのに……」
「トウカが包丁を研ぐと上手過ぎてまな板も真っ二つになるからだよ!」
「お、おうよ……そうか……」
結構な剣幕で言い返された。そうだったな、うん。そうだった。私が気合いを入れて研いだ包丁は最早魔物狩りの武器並みの切れ味を誇る業物になるって父上が褒めてくれた。実際、厨房でコックさんがまな板を真っ二つにしてた。いけないな。……これが俗にいう黒歴史ってやつ?よくわからないけど。
「念入りに魔物除けでもしてきたらどうかな」
「トヘロスの魔石の粉とか撒いてみよう」
「ごめん、まさか万単位の値段の高級品を出してくるとは思わなかった。お願いだから止めてよ」
「聖水はさっきまいちゃったし」
「……多分トウカより強い魔物はこの辺りには居ないはずだよ」
それも……そうかもしれないな。何時も私が魔物狩りをして鍛えてたトロデーン地方よりもここは魔物が全体的に弱いから。
「そうこうしてるうちに下ごしらえが出来ちゃったから手伝ってよ」
「うん」
「そんなに暇なら剣の素振りでもやってたら良かったの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ