26話 決意
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てくる。何重服を着ているのか、その下にも服を着ているみたいだ。……鎖帷子とか外すのはすごく大変だった。
「……おう、この服にもあったわ」
「これ、トウカが何時も鎖帷子の下地にしている服だよね?」
「……弁解すると、母上の趣味な」
フリルはないけど、女の子っぽくもないけど、良くも悪くも……中性的だった。あんなに日頃から暴れまわっているのに綻び一つない。さすがに高級品だ。……ますますトウカが女の子に見える。いや、言わないけどさ。言ったらなんかまずい気がする。それからとんでもなく失礼だ。
「……そういえば」
「なんだい、ゼシカ」
「防具を外すのを手伝った修道士が指を挟んで怪我してたわ。……有り得ない箇所で」
「……ちょっとでもボクに敵意があったら自動発生するトラップだね、父上特製の。ダメージは物理的」
「……危うくベホイミ騒ぎよ」
「それはそれは。まるで鍛え方が足りないね」
ベホイミ騒ぎって、出血多量で本当に危ないことを指すんだけど。赤い謎の魔法陣が血をはじきまくってたし、気絶してて知らなかったトウカが無防備な時の自分に敵意がある人が近づいてた、なんて聞いたら心中穏やかじゃないだろうけど……そんなにマイエラの人が嫌いなの?中には良い人もいると思うけどな。赤い聖堂騎士さんとか。
……嫌っている僕が言えたもんじゃないけど。
「……さて。マシュマロとかは後回しにして、今日はもう寝よう。明日はオディロ院長のお葬式だから……」
「分かったわ」
「了解でがす」
「……うん」
暴れたりいきなり剣の稽古に、流石に行きそうにないトウカ。うん、これなら見張ってなくても大丈夫そうだ……ていうか、ゼシカを含んでみんな同室なんだけどさ。修道院だからというか、ささやかな嫌がらせというか、部屋が足りてないというか、ね。
「……ちなみにボクの武器と防具は?」
「手袋の中だよ」
「……ん」
早速トウカはすらりとした長めの剣を取り出して、嬉々として抱き枕ごとく抱きしめ始めた。……ツッコミはもう疲れたからしないでいいや。寝にくくないのか、とかいう疑問はあるけど。
すぐに、穏やかな寝息が聞こえていたので、僕たちはそっと離れた。……前もだけど、トウカって寝るの早くないかい?
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