26話 決意
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らうためにやった僕たちの行動はやっぱり無駄だったんだと悟らされた。
「……陛下の手足にならなくちゃいけない。私は、姫様の憂いを払う為の剣。陛下を、姫様を、そしてトロデーンの民を苦しめる呪いを解くのが役目だ。人の命を救わないといけない。エルトが笑えるようにしなくちゃならないんだ」
「なんでそこまで考えるの。たまには息抜きでもしなよ……」
「……息抜き?」
「何その未知の物を聞いた顔」
トウカがいくら戦うのが好きな戦闘狂が入ったバトルマスターだからって、たまには他の事で息抜きでもしたほうが良いんじゃないかと思って言ってみれば、うん。目をパチクリされた。力の抜けた腕がぱさりと布団の上に落ちる。
「……稽古じゃなくて?」
「たまにはそれを止めようと言ってるんだ」
「じゃあ久しぶりに数学でもやろうかな……」
「……数術をやろうっていうの?」
「いや、実は嫌いなんだ……。そうだ、なら槍で戦おう」
「僕の出番がなくなる……って、そうじゃないよ。戦いとか勉強とかから離れてよ」
小さい時は僕と遊んだりしてたけど、流石に今は十八歳のトウカはそんなことをするわけない。同僚の僕たちは顔を嫌でも合わせるから気にしたことはなかったけど……もしかして、過酷な近衛兵の勤務後も家では武器の稽古と勉強しかしてなかったとか?
そんで考えることは、王家に仕えて人々を守って、民を救うことしか考えてなかったっていうの?立派なことだけど、突き詰めて考えればそれは馬鹿だ。そうやって自分を追い詰めて追い詰めて強くなっても、肝心なところでぷちんと切れてしまうだけだ。それが今のトウカじゃないの?
「……。じゃあ、マシュマロ食べて寝る」
「ただの宿場町にそんな貴族の高級菓子は売ってないと思うな……」
「違うよ。マルチェロに慰謝料請求しようと思って。鉄格子は破壊しちゃったけどそれを払えとか言われたらさあ、流石に暴れちゃうかな。思いっきり足踏みぐらいはしても許されるはずだよね、勿論フル装備でさ」
慰謝料って、冤罪で捕まったからだよね?世界に名だたる名家の長子がマシュマロだけで満足するとか……。そういえば寝言にマシュマロが出てくるんだっけ、トウカって。……その、足踏みで全部床が抜けたら僕たち、逃げないと危ないかもしれないなぁ。……ちなみに止める気はない。
だって悪いけど僕、あの人嫌いだから。何でって、喋り方が。
「……案外可愛らしい好みね」
「そうかな?ボクは昔から甘いものが好きだから別に可愛いとか気にしてないけど。あと私服にリボンとか付いてたし」
力が抜けたのか、疲れたのか、ぼふっと布団にトウカが倒れ込む。その頃には赤色の魔法陣は無くなっていて、呪いの黒いもやも綺麗さっぱり消えていた。
そして服の裾を引っ張って見せ
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