25話 対峙
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「さぁ、行けよ!」
僕が躊躇しているうちにゼシカが、ヤンガスが橋を渡った。トウカに背中をドンと押されてしまい、勢いに任せて僕も走り出す。その時、後ろから鋭い風切音が聞こえた。
ふと、隣を見れば宙に舞う銀髪の剣士が見事に橋を超越していた。
ドン、と酷く鈍く、重い音をたててトウカが着地する。橋を渡り終えた僕にはその足元にしっかりと大地のひび割れが出来てしまっているのを見えてしまった。なんだかそれどころではないのだけど、遠い目がしたい。
だけど今は緊急事態だ。ヤンガスが叩いても開かない扉に向き直る。後ろからは崩れかけの橋を走って渡ってくるククールさんがいた。それはもう、必死の形相だった。
「扉、開かないの?……みんな退いて」
ガチャガチャと鍵を鳴らしながら扉を揺らしていたククールさんとヤンガスを、トウカは無造作に押しのける。……何となくトウカがやらんとすることが分かった、否、分かってしまった「ククールさん以外」は下がって耳をふさいだ。ククールさんは……それを見て気づいたみたいだけど、残念なことにワンテンポ遅かったようだ。
トウカの容赦も手加減もなしの正拳突きが立派で頑丈なはずの扉を襲い、木屑やら金具やらが盛大に悲鳴をあげて飛び散る。……バキバキドカンッ!とまあ、口に出すならこんな感じだった。要するに人が優に通れる大穴をぶち開けたのだ。なんて頼もしい。
・・・・
さながら人外の脚力で階段を一足跳びにすっ飛ばした人影と、素早く走ってきた人影がドルマゲスの前に躍り出た。その後ろからは銀髪の青年が飛び出し、追い詰められたオディロを庇う。
ドルマゲスへ向けて斬撃を飛ばすような勢いでめいめいの武器を構える二人。片方の剣士は星屑を散りばめたような銀髪を、アメジストの瞳を妖しく煌めかせ、身長程の大剣を易々と片手で操りながら突進し、もう片方の漆黒の目の槍使いは身長を越える長槍を油断なく構えて走り出した。
「……悲しいなあ」
甲高い耳障りな猫なで声が、その空間に緊張の糸を張る。声の主であるドルマゲスは先に後ろから攻撃を仕掛けたククールを吹き飛ばし、その更に後ろから人間の限界を越えるような速さで突っ込んでくる剣士へ向けて手を伸ばした。
「……?似ている」
「っ、らぁっ!」
しかし、トウカに攻撃を与える前に何やら考えこみ、トウカの剣だけをかわした。空振りした剣は剣撃を壁に飛ばし、けして脆くはないはずの壁に鋭い跡を残しただけだった。
続いて心臓に向けて伸びてきた鋭い槍の一撃をいなし、槍の主を階段近くまで吹き飛ばした。つまり部屋の端から端まで吹き飛ばしたのだ。派手な音を立てて吹き飛んだ青年は折れてへしゃげた槍を拾う事も出来なかったが、背負っていた剣に手を伸ばそうと必死に体に
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