25話 対峙
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「……マホバリア、『発動』」
マイエラ修道院に向かって全速力で駆けてゆくククールさんに向けてトウカは左の手袋を振った。魔導具から発せられた紫色の光が飛んでいき、ククールさんにぶつかって包み込むように体に吸収されていった。
あれが前に言っていたトウカの魔法対策だと思う。間違いなくドルマゲスが襲撃しているマイエラ修道院……確かにそれぐらいはしておきたいところだけど……。自分にはかけてないよね?それとも見てないうちにしてたのかな?また前みたいに戦闘不能になられても……今度はどうにもならなそうなんだけど。
「……ん、これでよし」
「自分にはいいの?」
「インターバルがいるから後でね、ゼシカ。……本当はみんなにかけれたら良かったけどさ、流石に時間が許さない」
怪しくゆらゆらと光る紫色の目をきゅっと細め、くるりと向きを変えたトウカは陛下へ向き直り、ふわりと自然に跪いた。
「陛下、恐らくマイエラ修道院には今、ドルマゲスが襲撃しております。狙いはオディロ院長かと思われます。ですから、私にドルマゲスを討ち取る許可を頂きたく……」
「ええい、親子揃って形式にうるさいの、モノトリアは。許可なぞいちいち取らなくともよい。憎きドルマゲスに早よう呪いを解かせんか!」
「はっ」
さっと立ち上がって一礼するとまたトウカは左の手袋を振る。今度はトウカ自身に紫色の光が降りかかった。右の手をさっと翻し、何時もの、腰につけていた双剣を取り出したトウカは手早くそれを身につける。
「……行こうか」
それを見届け、決意を確かめるかのようにぐっと手を握り込むゼシカに声をかけ、先に走り出したトウカと追いかけて走るヤンガスを見、僕も駆け出した。
見慣れぬ銀髪の背中は何時も通り頼もしかったが、どうも小さく見えて仕方がなかった。
・・・・
修道院の中はざわめいていた。だけど僕らはそれを気にする余裕はない。一番重装備であるはずなのに、一番足の速いトウカを追いかけるのが精一杯だったから。風のように駆けるという言葉を体現するかのように早く、なおかつ段差などの障害物は跳んで避けて進んでいくのだから。
負の感情と大量の魔力を凝縮したかのような嫌な雰囲気のする場所へひたすら走る。邪悪な魔力に反応したのか、揺れるトウカの銀髪は一層白く輝いて見えた。ぱちりぱちりと火花のように弾ける魔力を纏いながら。魔力を持たないトウカに表現するのは変かもしれないけど。
「……みんなは先に行って、私は装備で橋を壊しかねないから、跳ぶ」
オディロ院長が居るであろう、小さな池の島に向かうためにはどうしても橋を渡らないといけなかった。だけど、橋にはドルマゲスが放ったであろう炎。そこを、トウカは跳ぶの……?流石に無理だよ!
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