24話 破壊
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完全に破壊してしまって……すみません」
「いや……理不尽なマルチェロの奴が悪いからな。それにあんたたちは俺の頼みを聞いてくれた」
達成感に溢れた顔でしたり顔をしているトウカに呆れる陛下を背景に、一気に胃か頭が痛くなったであろうククールさんに謝った。
・・・・
「……トウカのお陰で牢からは出れるけど、これからどうするの?」
「あの野郎に侮辱されたままなのは嫌でがす」
「あはは……ボクはあいつなんかほっといてドルマゲスを何とかしたいけどね」
彼女……いや、正しくは彼、か。トウカは冷ややかに笑いながら粉砕した格子だったものを踏み砕く。ああ、どうして俺は彼の性別を見誤ったのか。どうして剣をレプリカだと勘違いしたのか。彼は紛れもなく強者であり、人外とも言えるほどの力を宿している者だったのに。
心奪われた、可愛らしい顔に昨日と変わりはない。俺よりも随分と小さな体にも違いはない。何故か分からないが髪が俺と同じ色に、目はアメジストの輝きに変わってしまっていたが変わらず俺の心臓を不規則に跳ねさせるトウカは……まぁ、簡単に言ってしまえば俺より余程強い男だったわけで。
俺は…………どうすればいいんだ。男に走るつもりは毛頭ない。一時の気の迷いだったのか。その割には彼のアルトの声が優しい少女らしいものに感じれてしまう。勿論、声は隣のレディより低く、何で勘違いしたのかと思う。
それから心を半分持って行かれたような気持ちで一行を外へ出した。此方を哀れむような、面白がっているような青年エルトにポンと肩を叩かれたり、縄梯子を見て目を丸くしたトウカに目を奪われてとっさに自分を殴りそうになったりといろいろした訳だが。まあ、些細なことだ……間違いない。
「脱獄を助けてくれてありがとう」
「いや、いいんだ……それ以前にあんたならやすやすと脱出出来ただろ?」
「ボク……何時も鉄格子を壊せる訳じゃないよ?今日はたまたま調子が良かっただけ……ん、今日は気絶とかしてるし調子は良くないか。どっちにせよ、たまたまだったんだ」
たまたま?調子が良かったから?いや……違うだろう。普段から出来ないことが出来る時は俺だってあるが、鉄格子を破壊することは調子が良くても無理だ。
「……何か力が出るんだ、でも変化といえば髪の毛と目の色が変わったくらいだけど」
「……戻るといいね」
「戻らなかったらボクはドルマゲスを倒しても帰れないよ……父上にも母上にも、ご先祖様にもない紫色なんて持ってたらさ……」
会話を半分聞きながら一行と馬を小屋から出した。紫色に煌めく目も綺麗だと素直に言えたら良かったが、生憎と彼はそのまま「彼」なのだから言えるはずもなかった。初対面の時に目が奪われたその微笑みにいきなり口説きにいって、手酷くホモ野郎のレッテ
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