22話 亡霊
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若干、トウカがふらついてる。……その若干っていうのは、一般的な人が基準だから、トウカにしたら相当何だけど……。一応、傷は負ってないからホイミはかけなくてもいい。でも悠長に休んでいる暇はない。そして、肩を貸すほどふらついてはいない。……でも顔色は最悪。受け答えに問題はない。
僕にどうしろって言うんだ。
魔物は見える範囲にいないから、心持ちトウカに気を使うぐらいしか出来ない。
発見した先のアンデットの部屋にそっと足を踏み入れ、ゼシカの放ったメラが先制攻撃するのを見届けながら僕は剣を引き抜いた。トウカをかばうのは難しいかもしれないけど、やれるだけのことはやろうと決意して。
「……苦しみの限界突破ァ!」
「おいっ!」
「トウカの兄貴、治ったでがすか!」
トウカは戦力として考えないでおこう……とか考えていたら、妙に力のこもった声が聞こえた。無論トウカだ。……その髪の毛、真っ白だね。ここから出る時に戻るといいね……。
リーザスの塔でも見た、真っ白の髪の毛に……紫色の目という謎の配色のトウカが飛び出した。素手で。前は目は緑じゃなかったっけ?……今はどうでもいい。取り敢えずこの亡霊を何とかすればなんとでもなる。
「……ホイミ!」
にしても、苦しみの限界突破?結局は苦しいんだろ、気持ちの上で吹っ切れただけなんだろ!何時もじゃありえないのに正面から攻撃を食らうとか……そのまま吹き飛んで気絶するとか……らしくないな、もう!あぁ何時もの頼れるダメージルーキーはどこに。バトルマスターでも戦闘狂でもいいからカムバック、ノーマルトウカ。取り敢えず傷は治したから、うん。三人で挑もう……。
心配でたまらないけど、トウカみたいな重い防具の塊を抱えて撤退出来るわけ無いじゃないか。あんなにトウカはふらふらになってもフル装備を外してなかったけど、僕にあれを運ぶのは無理だから。背負った瞬間に潰れるよ、物理的に。
「ヤンガス!かぶと割りで攻めろ!ゼシカ!ルカニを試してから双竜うちで攻撃して!」
……作戦、命令させろ。絶対に気は抜けない。この人は、トウカがほぼ一人で倒したあのオセアーノンよりも強い!あの時みたいに単純な動きじゃない!
トウカが何時も斬りかかる時のように体重を込めて槍を振り回し、亡霊を切り裂く。見慣れた動きを自分ですることはあまり違和感が無く、妙にしっくりとする。ザシュッと切り裂いたアンデットの腕からは無論、血なんて出なかった。腐ったような肉がぼろぼろと崩れて、嫌な匂いのする臭気が飛び出しただけだ。
「オオォオオォォ……」
……アンデットなのに、何故か首にロザリオを下げている……ああ、そうか。このアンデットは、比喩でも何でもない本物の亡霊で、ここの、修道院の人だったん
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