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剣士さんとドラクエ[
22話 亡霊
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。本当に当てるわけじゃないんだからそもそも火傷させないように熱さだけにするつもりなんだから。

「トウカは……えっと。知ってるかもしれないけど、魔法耐性がマイナスなんだよ。むしろ常に弱体化してるみたいな体質でさ」
「……それが原因かしらね、魔力に弱いのは」
「多分ね。だから魔法を近付けるのは避けてるんだ。ホイミでも異常に効くからね……ベホイミ以上にさ」

 想像以上ね。……ということは魔法は駄目ね……。あら、魔法は駄目?

「キアリクって睡眠解除も出来たわよね?」
「残念だけど使えないなぁ……ヤンガスは?」
「無理でがす……」
「じゃあ、満月草はないの?」

 この前キアリーを覚えたエルトなら出来ると思ったのに……。あたしは攻撃魔法や妨害魔法しか使えないし、ヤンガスも無理……なら満月草って考えるわよね。

「……そういえば、あったなぁそんな物も」
「あなたたち、旅の基準を忘れてるの?」

 魔物と戦うんだから常備は勿論、薬効ぐらい忘れないで欲しいわ……。そんなことも覚えていない旅人って、わりと早死すると思うのだけど……ああ、それを補って余りあるトウカの戦闘力でカバーしてたの?どこからでもアモールの水が飛んでくるし……。

「……なら、これを……」

 エルトは少し迷いながらも、袋から満月草を出して、そして、いきなり気絶しているトウカの口に満月草をねじ込もうとして……なんて事を!

「……、おはよう」
「あ、効いた」
「そんな馬鹿なこと……あら」

 ……そういえば即効性だったわ。あまりにも行動が衝撃的すぎて忘れてたわ……。……目覚めた瞬間から口にねじ込まれていた満月草を何事も無かったように食べてるトウカも常識知らずは相当ね……それ、林檎じゃないのよ。本当はもっと丁寧に与えるものよ。……でも、エルトがこの状況でトウカが満月草を使う場合、エルトに叩きつける姿が想像できたのだけど……マジックアイテムに似た満月草はそれでも発動するけど、まさか、ね……。

「……うん、激まずい。ごめんね、迷惑かけた……。もう完全復活したから大丈夫だよ」
「本当だよね?」
「そんなところでボクは嘘を吐かないよ」

 困ったように眉を顰めたトウカは勢い良く立ち上がったわ。そして地面にめり込んでいた愛刀をひょいと持ち上げて、訝しげに自分の手を見つめた。相変わらず色の抜けた髪の毛を弄ると、手袋から手鏡を取り出して顔を見た。どうなってるか、確かに気になるわよね。

 顔を上げたトウカは先程までではないけれど、血の気が引いた顔色になっていたの。でも、頭をぶんぶんと振って動揺を振り払ったトウカは、部屋の奥にある洞窟へ真っ先に足を踏み入れた。
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