22話 亡霊
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は、気のせいだろうか。
・・・・
亡霊からの光はすぐに止んだわ。あんに大怪我だったエルトも光が止んだ頃には服まで元通りになっていてちょっと皆できょとんとしていたぐらい。亡霊のいたところには光り輝く金のロザリオが、座り込んでいたエルトの手のひらに落ちてきただけで何も残ってはいなかった。
で、戦いの後には急いでマイエラ修道院に戻らなきゃいけないんだけど……その前にこの死闘では役立たずだったトウカを起こさなきゃいけないわ。最早体力も傷も全快して魔力まで元に戻ったエルトやヤンガスでも金属製の重い防具の塊であるトウカを運ぶのは辛いらしくて。あたし?論外に決まっているでしょ。あの二人ほどの力はないわよ。……多分この問題の張本人であるトウカには可能なんだろうけどね。
ちょっとあたしもトウカを揺さぶってみたけど、重いにも程が有るわよ。あの装備であの速さで駆けまわったり戦ったりしているトウカって、トウカって……!
「…………、どうしようかな」
「叩き起こせば?それじゃ起きないの?」
「まぁ、一般的にはそうだよね……」
気絶したトウカを起こす時、エルトは何故か躊躇しているみたい。傷はあの光が回復させたし、トウカの体調を悪くしたであろう悪い魔力は綺麗さっぱり無くなったし、流石に持ちあげれないからって引きずるのは可哀想だし……さっさと起こせばいいのに。……あら?まだ髪の毛元に戻ってないわよ?さっきみたいな白色じゃなくて、なんか光っているけど……。
「僕が気にしてるのはさ……トウカお得意のオートカウンターかな」
「……何でがすか?」
「トウカはね、一度寝込みに暗殺されかけたってシャレにもならないことがあったんだけどさ……うっかり暗殺者の急所を一突きしてさ……そいつ、生きてたけど、再起不能な状態でさ……」
「す、凄いでがすね……急所でがすか……」
「ちなみに心臓でも頭でもないって言っておく。話を聞いた時、僕ぞっとしたよ……絶対トウカのカウンターだけ食らわないって決めたんだ……」
……反撃を恐れてるわけね。そこまで恐れるのはちょっと分からないけど……。でも、あの力で殴られるのはたしかに怖いわね。
「……味方と敵の区別はつかないのかしら。その暗殺者と違って殺気がないなら……」
「曰く、完全に無意識だったって。……それにトウカの家はすごい警備だからそんなに寝てるときにオートカウンターが発動したことはないんだ……だからデータがない……」
「驚かすために遠くからメラでも掠らせればいいんじゃない?」
「トウカ死ぬって」
……流石に魔法に弱くてもそれはないと思うわ。あんなに強い人がメラが掠るぐらいで死ぬかしら。一般的なご老人でも酷くとも火傷で済むわよ。回復にだって薬草一つでお釣りが来そうよ。それに掠らせるだけよ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ