暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
21話 跡地
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
回も閉鎖的空間だけど、それは……トロデーンでかくれんぼしても何も起きなかったんだから違うんだろうな。何が原因?前は神秘的なリーザスの像の目の宝石が原因だったみたいだけど、修道院の跡地の、こんな荒れ果てた所にあんなにきれいな宝石があるとは思わないし。

「……取り敢えずトウカは様子見つつ中衛ぐらいで居てくれないかな」
「そうだね……」
「で、話は変わるんだけど、個人的に僕がトウカの代わりに単騎突撃したらどうなると思う?」
「…………。エルト、それ、到底無傷じゃ済まないと思うよ。ボクも、何時も何発かは食らってるんだから」

 そりゃそうだよ。四方囲まれて戦うんだから。後ろの味方に攻撃が減るように囮になりながらも戦うんだから。その上大量に魔物を倒さないと下手すれば全滅するんだ。

「僕はトウカと同じで呪いが効かないから、呪いで動きが止まることがない。それにこの魔物の数でちまちま倒しながら進むのは埒があかないよ。もしも死にそうになったら得意の回復薬遠投でもしてくれたらいいから」
「……頑張れよ。そして死ぬなよ」

 危険だと分かってても止めないのはトウカなりの優しさだ。実際、あの数の魔物に囲まれて回復しつつも攻撃するなんて出来ないんだから。

・・・・

「ねえ、エルト、大丈夫なの?」
「死にはしないよ。エルトは自己評価が低いから、言っているよりもずっと強いさ」

 さっきまでエルトが居た位置で剣を無造作に振るう彼は、言葉の割にちらちらとエルトを窺いながら言った。何だかんだといいつつエルトを気にしているよう。ヤンガスはエルトに絶対的な信頼をしているのか目の前の敵に集中しているけど。

「……エルトには言ってなかったんだけど」
「何?……あぁもう、魔物は減らないわね」

 彼は相変わらず綺麗な剣捌きだと思うわ。近くで見ればやっぱりそれを思う。そして体調も悪くて、しかも喋りながらなのに乱れもしない。だけど……顔色は最悪ね。真っ白な血の気の引いた顔、それは貧血とは違う感じ。……本当にまずいとか言い出すの?今倒れられたら……どうすればいいのかしら?抱えて逃げるべき?

「実のところ、このまま痛みが増していくなら……最深部で私、立っていられる自信はないんだ。だからといってエルトやヤンガスに防具で重い私を運んでもらうわけにはいかない。……どうやら原因は最深部にあるみたいでね……勘だけど」
「見捨てろと言われても従わないわよ。……メラッ!」
「こんな所で犬死にする程私は弱くないさ。最深部について駄目そうだったら私は遥か後方から支援する。動ける場所から。……感じるよね、奥から流れるおぞましい力を、貴女なら」
「……そうね」

 痛みをこらえているからか、まだ見ぬ元凶を想っているからか、ドルマゲスのことを考えているのか。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ