21話 跡地
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ど禍々しく、見ているだけで恐ろしい、大きな魔法陣だ。ザバンとの戦いでも見た、あれ。それが呪いの光を吸い込み、トウカには届かない。そして元気な声が僕の鼓膜を震わせる。
「じゃかぁしい!効かんわ!」
「心配した僕の気持ちを返せ!」
魔法陣を気にせず、トウカが元気よく自分を囲んだミイラ男の首を次々と跳ねる。どうやら何の心配もなさそうだ。本当に僕の心配を返せ。
それにしても……目に焼きつくあの魔法陣は紫色の光を打ち消すほど怪しい赤色だった。正直、「正義」や「勇敢」……いや、「勇猛」か。そんな言葉が似合うトウカに似合わないにも程がある魔法陣だ。……そうだった。彼は僕と同じく呪いが効かなかったんだ。心配するだけ無駄だったんだ。
「おうよ!やられないから心配しないで!」
トウカの、物理的な剣撃が辺りの魔物を殲滅する。その上、僕がやっとの事で一匹倒せばトウカは十匹倒すし、ヤンガスがミイラ男一匹薙ぎ倒せばトウカは十匹は吹き飛ばす。ゼシカのメラが敵を燃やせばトウカの不可視の剣撃が魔物を何匹も倒している。……あれ、不可視の剣撃?剣からなんか出てるよね?
「トウカいつ魔法が使えるようになったのさ……」
「残念!物理攻撃しか出来ないよ!」
会話しながら戦闘なんて先輩兵士に見られたら殴られそうだ。だけどもみな無傷で戦いに緊迫感は薄く、我ながらだれてしまう。……本当に親友はお強いようで。
「今トウカ、剣撃飛ばさなかった?」
「残念!物理的に飛ばしたよ!」
「嘘よ!」
……かまいたちでも覚えたんだね、そうだよね。殺れば出来るんだよ、人間だもの。あ、殺ればは誤字にあらず、だよ。
で、魔物は強くなってるから今までに比べればやや進度は遅いけど……多分並みの旅人よりは主にトウカのお陰でサクサクと進み、なにやら毒の水が充満する部屋に出た。
「……何があったらこんなひとところに溜まるんだ?」
愕然として道を探すのを放棄したトウカは、まぁ道を開いてくれたからほっといて。休憩でもしててくれたらいいから完全に放置。何故か上手いこと毒に足をつっこまずに向こうにいけるような配置に箱やら瓦礫やらが積み重なっていたのでそこを回った。
そして何やら着いて来たはいいものの、頭、というか目を押さえるトウカを見やる。嫌な予感がするんだけど、まさか……またなのか?
「ちょっと、大丈夫なの?」
「……この先から強烈なほど何かを感じるんだけど、そのせいで目が痛いから。というかやっぱり右目だけが痛い。この役立たずが……」
「休憩するでがすか?」
「リーザスの塔と同じ現象ならそうそう治らないからいいよ……ありがとう」
こんなところで嫌な予感なんて当たらないでいいから。トウカの謎の痛みは何が原因なんだろう。今回も前
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ