暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
19話 聖騎士
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拡張魔法のかかった旅の鞄でしかない。手袋みたいな、収納機能のないものにかけるのは珍しいよね。

「この手袋には同じ物が9999個入るよ。種類の上限も9999個。左手は簡易魔法防壁が張れるようになってる。一人マジックバリアぐらいだけどさ。俗にいうマホバリアだね。自分以外にもかけれるけど、一分は開けないと次の人にかけられないんだよね……あ、どうでもいい?」
「……どうでもよくなくは、ないけど」
「だからボクは物をなくさないよ」
「なんか綺麗にまとめたけど、トウカは『ふくろ』に指輪を入れただけだからね、ゼシカ」

 ……その理論だと僕も荷物をなくさないんだけどな。

「ようし、疲れたからもうボクは寝る。心配しなくてもヤンガスの回収はボクがするから。あ、用があったら起こしてね」

 ちょっと……今はまだ太陽が出てるんだけどな。あまりにも気まぐれ過ぎるよ……。でも用はほんとにないんだよなあ……。

 さっさと酒場に飛び込み、ヤンガスを片手で引きずって引っ張ってくるというトウカにとっては簡単な仕事を済ませてから欠伸して歩いていくのを眺める。……眺めるというか呆然としていただけというか。フリーダムすぎてちょっと着いていけないっていうか。因みにゼシカは僕よりも呆然としていた。

「……さて、あたしたちもさっさと休みましょうか」
「君も現実逃避するの?本当に指輪は今日はいいの?」
「主戦力が寝てるのにマイエラに行きたくはないわよ……」
「……僕らだけでも行けない訳ではないけどね」

 そして重い足を引きずって宿に向かう。なんとなく、宿の部屋を覗いたら今回も今回とて同室になっていたトウカは抱き枕のように剣を抱きしめて爆睡していた。……なんか怖いんだけど。

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