19話 聖騎士
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ゼシカ!君がわりと短気なのは知ってたけど屋内で魔法なんか使わないでよ!このメンバーでの良心だと思ってたのに……!
慌ててゼシカの元へ駆け寄ればこの乱闘のそもそも原因である赤い騎士服の男がゼシカの手を掴んで魔法をかき消し、ゼシカと僕とトウカをさっさと引きずるように外へ連れ出した。……トウカは防具で重量がとんでもないことになってるはずなんけど良くやるなぁ。
「おかげで助かった」
パラパラと隠していたトランプを撒き散らして見せられても……やっぱり彼、イカサマしてたのか。なんか遠目からでも何か怪しいとは思ってたんだけど……。
「俺はククール。よろしくな、レディ?」
「よろしくなんてしたくないわよ!」
皮手袋を外してゼシカ、僕、トウカと握手していく。トウカは握手の前にパッと籠手ごと手袋を外して握手した。そこらへんちゃんとしてるよね、
で……ククールさん。トウカがあんなに力持ちなのに手に豆もタコもなく、角張ってもなく、骨張ってもなくて女の子の手みたいに小さいという事実を決して、決して口に出しちゃいけないからね。何か訝しげな態度だけど、口に出したら駄目だからね。自殺したいなら別だけどさ……。
……何故か、同い年の兵士の親友は僕よりも戦うくせに手はしなやかな白魚みたいなことになっている。不思議でならない。しかも年がら年中長袖に手袋をしてるもんだから肌が白い。その上背が小さくて髪が長いから女の子みたいだとトウカを妬んだ人間からよく陰口を叩かれる。
……叩いたやつはトウカの母君や父君に一瞬で潰されるんだけど。あ、僕も潰すけど。
ってククールさん。ゼシカが滅茶苦茶不機嫌になるような指輪を渡さないで。トウカよりも気障な態度取らないで。そんで、場をかき乱しといて逃げないで!この空間を僕にどうしろって言うんだよ……!
ククールさんが走り去るのを見送ったトウカがちょっとつかれたように口を開いた。
「……取り敢えずボクは指輪を突っ返す前に洗濯物が気になるから今日はマイエラ修道院に行かないよ。ドニで宿もとったし、それは明日でいいじゃない」
「…………あたしはこんなの持ってるのいやよ」
「じゃあそれはボクが預かるからさ。なくさないよ、心配しなくても」
トウカは嫌そうにゼシカが持っている指輪をそっと自分の右手のひらに乗せた。その瞬間指輪が掻き消える。種を知っていると、単に「ふくろ」の収納しただけだから驚くべきところはないんだけど……。知らないとこれ、ちょっとした手品みたいだよね。
「……消えた?」
「手袋にかかった魔法だよ。母上がかけたんだ」
トウカは城で鞄に入りきらないものを次々と「空間収納」していってたっけ。ていうか僕の鞄にも似たような魔法がかかってるけど……一般的な空間
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