19話 聖騎士
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その、遠くでトランプをやっていた人……赤い騎士の服に軽薄そうな顔つきの男……の元へ一直線に歩いていき、カードを覗き込みながら声をかける、トウカ。あたしでもそれ、明らかに間違っているって分かるわよ!何をやっているの!
「悪いな、魅力的なレディの弟クン。今は真剣勝負の最中でね、邪魔しないでくれないか」
「……黙っていればいい気になりやがって!この勝負のどこが真剣勝負だ!このイカサマ野郎がっ!」
追いついてきたあたしにトウカは耳打ちした。いざこざが起こりそうだったから興味本位でせっついてみる悪い例だよ、って。……トウカ、貴男は子供なの?行動がとても幼いわよ……。そのせいであの男にもあたしの弟扱いされるなんて……。
「あ、ボク関係ないから」
「てめぇがグルなのは分かって……なんだガキか」
「ガキ?」
あの荒くれ男……必死ね。耳まで真っ赤になって怒るなんて。って、そんなに煽って大丈夫なの?
結局、荒くれやその子分が軽薄そうな男やトウカを標的にして乱闘を始めてしまった。机や椅子、花瓶やタルまで飛び交うような……。乱闘が始まってすぐに、あたしの方に飛んできた花瓶を避ける前に片手で受け止めて守ってくれたトウカはやっぱり兄さんみたいな優しい人だった。……行動は幼いけれど。
・・・・
嬉々として喧嘩するヤンガスにはちょっとあとでお灸を据えなきゃいけないな……。真人間になりたいなら喧嘩は駄目だ、特に暴力は。だけど今回は発端でも何でもないから今は何も言わないでおく。というか僕は巻き込まれたくない。
武装全開で誰から見ても強そうに見える、実際強いトウカが乱闘に巻き込まれていてね……。正直に言うと、巻き込まれたくないんだよ、トウカの土壇場に!トウカのとんでもない握力、とんでもない腕力によって初めて出来る「片手で、飛んできた机をキャッチアンドリリースする」こととか「向かってきた荒くれの弁慶の泣き所を鉄入りブーツで蹴飛ばしながら三人ぐらい八つ当たりで吹き飛ばす」こととか、ね。どうにもこうにも手に負えない。
僕は、兵士だからこういうのは止めなきゃいけないんだけど、陛下もご覧になって楽しんでいらっしゃるし、そもそもここはトロデーン王国じゃないし。勤務中といえば勤務中だけど僕の今の立場は旅人だから。それにトウカやヤンガスや、男に思いっきり水をぶっかけたゼシカの仲間っていうのはバレたくない。面倒くさい。
喧嘩なんて……一般人には負けないだろうけど、明らかに僕より背が高くて筋肉隆々な大男と殴り合いしたいわけないでしょ。
というわけでぼんやりと巻き込まれないように壁際で乱闘を眺めていることにしておく。あはは……色んな物が飛び交ってるなぁ。トウカにも自重しろって言わなくちゃな……。僕は保護者か……!
って
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