19話 聖騎士
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の血と私の汗なんだから触らない方がいい。魔物の血も気持ち悪いだろうけど、人の汗も気持ち悪いだろうに。
「……そう」
ちょっとシュンとしちゃったから軽く罪悪感。でも……ビジュアル的に駄目なことを回避しただけだから。十八の男が若い女の子と一緒に魔物の血を洗い落とすってなんだよ。それ、私は駄目な気がするんだけど。
干した服をパンパンと叩いて真っ直ぐにした、うん、さっぱりだ。湯浴びは情報収集の後でもいいよね。
「よし、じゃあ聞き込みでもしよう」
最早慣れたように頷くエルトとヤンガス。若干戸惑ったように頷くゼシカ。……ゼシカが心配だから私は彼女と一緒にいようかな。虫除けになれるぐらいの無骨な格好はしているつもりだ。
・・・・
……居心地が悪いわ。
あたしたちはドルマゲスの情報を得るため、手始めに酒場に足を踏み入れた。だけどヤンガス以外はお酒を飲む年齢には見られなかったわ。……小声でエルトとトウカが十八歳だと主張していたけれどね。……二人が同い年で歳上なのを知ったのは今のが初めてなんだけど。
明確にお酒を飲む年齢は決まっていないのだけど、子供は飲むべきではないというのが一般論。それは当たり前なのだからあたしも必要に駆られないのに飲もうなんて思わないわ。でもあまりにも目線が無遠慮よ。
「僕ってそんなに童顔かなぁ」
「そんなことないよ。ボクってそこまで背が低い童顔なのか……」
「…………そんなことないよ。トウカは同い年だよ」
「何今の間」
「……僕の年齢は正確じゃなかったなと思って」
こそこそ話してるけどこちらには丸聞こえよ。それにだんだん話が脱線していってるわよ。それでいいの?
「明確に自分の事を分かってる奴なんか少ないさ」
早速聞き込みを始めたけれど、早速怯えられているヤンガスを尻目にだんだんと視線が減ってほっとし、トウカの肩を叩いてみた。聞き込みなんてどうすればいいのか分からないもの。肩をたたいたのがエルトじゃなかったのは単なる距離。
叩いた瞬間に、バッと瞬間的に振り返られてびっくりしちゃった。……その、左目が一瞬だけど剣呑な色を帯びていて、少し背中に冷たいものが走るのを感じた。すぐに温かな、穏やかな茶色になったけど……。……彼は戦いに堪能な分、警戒心が普通以上に強いんだわ。
「何だい?」
「聞き込みのやり方を聞こうと思って……」
「あぁ、ボク、一緒にやって見せようと思ってたんだよ」
「……感謝するわ」
でもさっきの服装と違って、あからさまに武装全開の貴男はヤンガス以上に怯えられているの、気付いてるのかしら?向こうでトランプをしている人からも視線が来てるわ、随分と遠いのに。
「やぁ、お兄さん」
「って何やってんのよ!」
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