18話 修道院
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て四人でめいめい祈る。ゼシカの、兄を悼む言葉、エルトの決意、ヤンガスの誓いが前世よりも耳の良くなった私にはよく聞こえた。ざわめくように、様々な人の祈りの言葉が渦巻く中で、立ち籠める厳かな空気が重くのし掛かった。自分については何も要らないから……取り敢えず私は皆の健康と世界平和を願っておいた。
「……どうか誰も大きな怪我をせず、病気にもならずに平和に旅を終われますよう……。ドルマゲスを早く倒せますよう……。今日も魔物を狩り、人には親切にしようと思います……。……ゼシカのように悲しい目に遭う人に救いを……。ヤンガスのように改心した者に愛の手を……。エルトのような努力家が、努力に報われますように……。陛下に平穏な日々を、姫に健やかなる時を、どうか……」
そして最後に付け足す。
「悲しみにくれる人が一人でも減ることをお祈りしております」
・・・・
「じゃあ、次行こうか」
場違いにのほほんとしているエルトは周りを見ずに結構な声量で言う。何にもマイエラで感じなかったのか、実は無神論者だったのか。何それ新情報。
だってさ、ヤンガスはいまだに小声だし、ゼシカはまだ感動を引きずっているみたいだし。私?私はあんな堅苦しい場所にいたから体中ばきばきになっちゃったから今すぐにでも柔軟したい。でも……そういう訳にはいかないでしょ。今は戦闘態勢になるために腕を伸ばすことしか出来ないな。
「そういえば、ドニの町には行ったことないな」
「え、でもドニって確か、マイエラ巡礼の人の為の宿場町、だよね?トウカは前にマイエラに来たときはどこに泊まったの?」
「義母上のルーラであっという間に我が家。行きもルーラ、帰りもルーラ」
「……そもそも日帰りだったんだね……」
「泊まりの旅行は今までで三回ぐらいしかしてないよ」
当主である義父上があんまり家を開けるわけ無いよ。……私としてはマイエラ周辺の魔物と戦いたかったし、観光もしたかったからルーラ直行便は嫌いだったけど。
「だから楽しみだ」
トラペッタの街には、この旅以前でも行った事が勿論あった。リーザス村あったし……勿論マイエラだって。だけどドニは行ったことがないんだ。その先のアスカンタも行ったことがあるのに間がすっぽ抜けてたんだ。
それからは降って沸いてくるように次々と目の前に現れるでんでん竜やらげんじゅつし、リンリンなんかを剣で切り裂き、叩き斬り、手甲で殴りつけ、鉄板入りブーツで蹴り上げる。我ながら荒々しいにも程がある剣舞をしている気分だ。
ドニへ行くことが楽しみ過ぎて、気もそぞろだったのが悪かったのか。一撃だけ、腕にリンリンの噛みつき攻撃が命中してしまう。手甲のお陰で刺さることはなかったけど、ぐっと強い圧迫感。血を止められ、じくじくと痛む。大き
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