15話 邂逅
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「そういえば、なんでヤンガスはエルトやトウカより年上なのに二人を『兄貴』って呼んでいるの?」
「おお、よくぞ聞いてくれたでがすな!あっしと兄貴達との出会いには聞くも涙、語るも涙な話があるでがすよ!」
ああ、ゼシカさん……それは聞くべきじゃなかったよ。そうなったら長いんだから……。だいたい、ヤンガスは僕を過剰評価し過ぎだよ。僕とヤンガスとトウカの出会いは確かに普通じゃなかったけど、その中に僕まで「兄貴」と呼ぶような要素はなかったはず……。
「諦めろ」
「トウカ……」
「な、諦めろ」
長い話をされるのは好きじゃない。僕の手柄でもない事をずっと言われて褒められるなんて恥ずかしい。なのに、……退路はトウカに塞がれていた。今は君を恨むよ……。
退路を断たれた僕は、樽に座りなおして海を見た。海は波もなく、とても穏やかだったが、僕が見たときから微かな波が打ち立て始めて心境を表しているみたいだった。
・・・・
あれは蝉の声がうるさい、暑い夏の日だったでがす。
長年続けていた山賊の仕事がほとほと嫌になったあっしは、足を洗ってまっとうな仕事をしようとしていたんでがす。しかし、世間はこのいかつい顔のあっしを雇ってくれはしなかったんでがす。
勿論、足を洗うと決めたからには仕事が見つからない中も貯金を切り崩して生きていたんでがすが、とうとう金がなくなってどうしようもなくなったんでがすね。
そしてもう二度とやるまいと決めていた誓いをあっさりと捨てて、兄貴達と出会ったトロデーンの近くの橋を張っていたんでがす。通る商人から身ぐるみを剥ごうという訳でがす。命だけしか助けるつもりはなかったんでがす。もちろん今はそんなことはしないでがすよ!
空腹の中、やっと通りがかったのは高そうな白馬に引かれた馬車と奇妙な一行でがした。変な御者はいるし、護衛らしき人間はたった二人。兄弟の傭兵だと思ったんでがす。失礼極まりないでがすが、エルトの兄貴を見ても大したことない奴だと思ったでがすし、トウカの兄貴の剣を見てもこけおどしの物か到底抜けないようなものだと思ったんでがす。
そんな馬鹿なあっしは橋に立ちふさがり、こういったんでがす。今考えると、到底勝てない喧嘩を言ったわけでがすね。
「やい、この橋が渡りたければ金品を全部置いていけ!その馬も馬車もな!」
この言葉を聞いたエルトの兄貴は身構えやしたし、トウカの兄貴は片手で剣を抜いたんでがすが、あっしは何も分かっていなかったんでがすね。そのまま続けたんでがす。ここでトロデのおっさんがこう返してきやしたね。
「貴様は何者じゃ!」
まあ、あっしはその時兄貴達が使えている君主だとは知らなかったもんで、名乗って脅してやろうとしか思わなかったでがす。
「俺は
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