15話 邂逅
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申し訳ないと思っているでがす……」
「今気負っても仕方ないけどね」
ヤンガスとの邂逅。ヤンガスにとっては一生を変えた大事件だったんだと思う。だけど、僕にとってはそうじゃなかった。斧を向けられ、僕自身に振り下ろされた時は肝が冷えたし、躱しながらも冷や汗をかいたものだけど……僕は大した恐怖心を持っていなかった。
それは僕の後ろで殺気が爆発したから。言わなずもがな、トウカの。それでもトウカが刃を向けた時に何もしなかったのはしんがりにいて手が出しにくかったことと、ヤンガスの目を見たからだと思う。
僕は、一番前にいたから分かる。足を洗おうとしていたのは間違いない事実。本当に誰も雇ってくれなくて、本当にお腹が減っていて、本当にどうしようもない状態だったんだ。どうしようもないんだという思い。そうしなければいつか餓死するんだという思い。
トウカは本当の悪に容赦はしない。ヤンガスが私欲だけで僕を襲ったんなら、最初に斧を向けた地点でヤンガスの命はなかったと思うんだ。あの距離でもトウカは平気で剣気を飛ばすから。彼の言葉を借りるなら「剣気(物理)」かな。剣を構えつつも、僕は別に死の恐怖は感じなかった。橋から落ちるかも、と言う意味ではびくびくしていたけど……それは別件だ。
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