15話 邂逅
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
この辺りで名を知られた山賊、ヤンガス様だ!」
恥ずかしいセリフでがすね。この言葉に返事をしたのもトロデのおっさんでがした。
「ヤンガス?……そんな名前は……知らぬわ!」
大人しく従わない事に腹を立てたあっしは、先頭にいたエルトの兄貴に斧で斬りかかって橋を破壊したでがす。そのまま斧が橋に突き刺さって抜けなくなったわけでがすがね。その間にトロデのおっさんや馬姫様や、エルトの兄貴やトウカの兄貴はさっさとあっしを飛び越えて橋を渡ったんでがす。
斧を引き抜いた頃には橋は壊れかかっていて、慌てて渡ろうとしてももう遅かったんでがす。崩れゆく橋、あっしは斧を捨てて対岸を繋ぐ橋の残骸のロープにすがりついたんでがす。
そこで慈悲を見せてくださったのがエルトの兄貴でがす。自分に斬りかかった悪党のあっしを見捨てずに引き上げようとしてくださったんでがす。それを見ていたトウカの兄貴が力添えをして下さって、あっしは地面に戻って来られたでがす。
何よりすごいのはトウカの兄貴が力添えをして下さった瞬間にあっしが地面についたところでがすかね。あっしは五メートルは優に飛んだでがす。それなのにトウカの兄貴は特に息を切らした様子もなく、普通にこっちを見ていたでがす。
お二人の慈悲に感激したあっしはそこで土下座して無礼を謝ったでがす。そしてあっしはエルトの兄貴とトウカの兄貴の子分になると決めて、頼み込んだんでがす。トロデのおっさんが、お二人が自分の家来だから自分の家来になれと言っていたでがすが、断じてあっしはトロデのおっさんの家来ではないでがすよ。
あっしはあの日、あの時決めたんでがす。あっしは今度こそ、二度と山賊に戻らないと。これこそ腹が減ってもでがす。そしてお二人に付いてい行くということでがす。たとえ火の中水の中、あっしはお二人の子分でがすからね!
・・・・
「ふ〜ん。で?二人の優しさに感激したってことでしょ?」
「そうでがすよ」
「それのどこが聞くも涙、語るも涙の話なの?」
「続きはあるでがすよ!」
「あ、もういいわ。じゃああたしは向こう行ってるから」
あ、あんなに僕の退路を塞いでいたトウカがあっさり退いてゼシカさんを通した。こっちをニヤニヤ見ないで、確実に確信犯だ……。
「あっしは、お二人の慈悲で目が覚めたんでがす。自分でした生ぬるい決意よりも固い固い決意を持って二度と悪の道には進まないでがすよ」
「ヤンガスは元々優しい人だと思うよ。ちょっとした環境、ちょっとした相違ですべてすべて変わってしまうものだよ」
「……あっしには勿体無い言葉でがす」
「まあ、陛下に刃を向けたことは許さないけど……でも、今のヤンガスが敵になるとは思っていないから。そこはボク、信頼しているからね」
「そのことについては
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ