14話 航海
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「僕はあっちに行ってるね。あ、それとオセアーノンが置いて行ったブレスレット、僕やヤンガスは使わないし、活躍したトウカが持っていてくれたらいいよ」
「え?お、おう」
船路は始まったばかり。あたしはこれから、この人達に頼み込んで旅に連れて行ってもらおうと考えている。だから、手始めに、この強い少年のことを少しでも知りたかった。
船の上での戦いを心から楽しんでいたこの少年の名前はトウカ。ああ、そうだ。彼にも炎の魔法をぶつけかけたんだった。取り敢えず謝らなくては気が済まない。彼らはあたしを心配して塔に登ってきてくれた人。あたしはそうとも知らずに殺す気で魔法を唱えたのだから。
さっさと向こうに歩いて行ってしまったエルトやヤンガスにも謝らなくてはいけない。だけど、近くのトウカからでも謝っておきたい。幸い、彼は押し付けられるように手渡されたブレスレットをやや困惑したかのように眺めているのでまだこの場にとどまっていた。
「トウカ?言いたいことがあるんだけど……」
「……ん?ああ、ゼシカさん。ただで船に乗せてもらえるように取り計らってくれたんだってね。ありがとう。……で、何かな?」
「その、リーザスの塔で魔法を唱えて、攻撃してしまって……ごめんなさい」
爽やかな笑みを真正面からぶつけられて、少し狼狽えてしまう。何となく、彼の態度は兄さんに似ていた。エルトの方が背格好から見た目が似ているが、その対応はトウカの方が似ていた。
「ああ、あれね……。状況が状況だし、実際数日前にお兄さんがあの場所で殺されてしまっているんだ、早とちりも仕方ないよ。それに……たしか、ボクはリーザスの塔の像の目に手を伸ばしていたからね……盗賊と間違っても仕方がない。ボクも悪かったから、それ以上頭を下げないで」
困ったような声が降ってくる。恐る恐る顔を上げれば、やっぱり兄さんに似た、困ったような表情をしてこちらを見据えていた。
「……それでいいの?」
「うん。だいたいボクたちには怪我はなかったんだし、終わり良ければ全て良しって言うよ」
それで言葉を切ったトウカは、甲板の方へ目をやる。そして、話を切り替えてきた。もう言うな、ということか。
「船に乗ったのは久しぶりだ」
「……あら、トウカはあったの?」
ありがたく好意を受け取って、目的の二つ目を果たすべく、トウカの話に乗った。彼は……どこの出身なんだろう。エルトとトウカは兄弟にも見えたけど、そうでもないようだし……ヤンガスに兄貴と呼ばせる二人は何者なんだろう。……トウカに関しては、あのとんでもない戦闘力を見れば分からないでもないのだけど……。
「父と母に連れられてサザンビークやアスカンタ、サッヴェラやゴルド……世界中をね、幼少期に」
「……ふぅん?裕福
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