11話 復讐心
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目が痛いと訴えてとうとう膝をついたトウカは、鋭く女神像の宝石を睨んでいた。手を伸ばして、破壊してやると言わんばかりに、見たこともないほど憎々しげに。あれがトウカの痛みの原因なの……?
兎も角、急いでトウカを起こす。ずっしりとした鎖帷子のせいで僕には座らせるので精一杯だったけれど。
あの宝石からは、魔法があまり得意でない僕でもはっきりと分かる程に濃厚な魔力が発せられている。だけどその魔力はトロデーンを包み込んだ茨の呪いのように禍々しく忌むべきものじゃなくて、どちらかといえば尊くて、いっそ神々しさまで感じるもの。決して悪くはなかった。僕には有害なものだとは思えない。でも、トウカには悪いものなの……?
不意に、チカリとトウカの「髪」が輝いた気がした。誰でも魔法を使うと何かしら光るけど、まさにそんな感じに。一瞬だけ息を呑むような莫大な魔力がこの場を覆う。それは息苦しい程に。
焦げ茶色の見慣れた色が、澄んだ高い光と共に、「銀色」に染まる。銀色になった髪の毛は暫くはそのままだったけどゆっくりと茶色に戻っていった。え、トウカになにがあったの。大丈夫なの?
「トウカ……大丈夫?」
思わず肩を揺する。痛みのあまり見開いた目も色が変わっていたのか、徐々に黒に戻る最中だった。多分、色合いからいって緑色に変わっていたんだろう。そして普段から白い肌はさらに血の気を引いた青白さ。帰りは背負って帰らないといけないかもしれない。
「大丈夫だ……何か、痛みが限界突破して逆に痛くなくなった」
「え」
呆然と目をぱちぱちさせていたけど口に出したのはそんな言葉。少し拍子抜けする。勿論安心して、だけど。でも、それより気になるのはそこじゃなくて。いや、親友の体調も気になるけど、そうじゃなくて。
「……何か今、トウカの髪の毛が銀色になって元に戻る怪現象が起こったんだけど」
「……銀色?」
「目は緑色から戻ってたみたいだけど」
「緑色、だと?」
一応、当の本人にそのことを報告すると銀色の件で少し訝しげだったトウカが緑色の件で血相を変えた。さっき以上に一気に血の気が引き、唇まで真っ青になって慌てている。
これは言わずにいたほうが良かったかもしれない。余計に体調が悪化してしまった……何やってんだ、僕。でも返事が返せるぐらいに回復はしてくれている。
「も、もう戻った?何時もの黒になった?」
「うん。……え、そこまでびっくりしたの?」
「心臓止まるわ!父上も母上も、そのまたご先祖様も、髪と目は黒、白、茶、銀、灰色だけ!緑色なんてどっから出るんだよ!」
とりあえず戻って良かったと胸を撫で下ろすトウカを取り敢えず立たせた時、今度は後ろから声がかかった。勿論、トウカの隣で心配げにしているヤンガスではない。高い、
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