9話 悲壮感
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ひとしきり説教を受けたポルクとマルクという男の子たちが走り去る。それを目で追ってから、トウカは人に話を聞いてみようと提案してきた。……またトウカのイケメンっぷりを見せられるのは嫌だ。
とりあえず今度はドルマゲスのことを知っている人のほうが少なそうなので、聞いてもしょうがない。トラペッタはドルマゲスの師匠がいたぐらいだからドルマゲスを知っている人がわりといたけど……。
代わりに聞き込みしたのは最近変わったことがあったかどうか。とはいっても普通の農夫さんに話を聞くときには別にトウカは普通の青年だった。
するとあったわけだ。痛ましい事件。少年たちがあんなに警戒していたわけが分かった。
「どうやらアルバート家の坊ちゃんが殺されたらしいでがすね」
「だから暗いのかな、とても慕われていた人だったみたいだし……」
「……」
素朴な空気の中にある悲しい雰囲気の原因も分かった。あと、気になるのはその殺人犯の正体。時期的にもドルマゲスが犯人で全くおかしくはない。僕達が訪れるほんの少し前なのだから。
だけど、その殺されたアルバート家の人はマスター・ライラスと違ってドルマゲスとの接点が思い当たらないんだ。聞いた限りではドルマゲスと同年代でもないし、住んでいる所も違う。ドルマゲスはマスター・ライラスの弟子で、都会のトラペッタにいたんだから、田舎のリーザス村までわざわざ普段は来ないはず。
そして噂だけで判断することになるんだけど、穏やかで良い人らしい被害者の青年がドルマゲスを怒らせるような「何か」をするとは考えにくい。一応、犯人は盗賊って言われてるけど。この村に殺人を犯してまで盗む価値のある有名なものがあるのかな……。……あ、彼がやられてしまったのは、ここからでも見えるリーザスの塔なのか。じゃあ、そこにあったの?
駄目だ、僕には考えても分からない。考えこんでいる所悪いけど、トウカにも話を聞いてみようかな。
「ちょっと考えが行き詰まったんだけど、トウカ」
「……ん?」
「ドルマゲスがどこに行ったのか、とかさ」
「……今考えているから待って……。ていうか、エルトのポケットからトーポが脱出して走ってるけどそっちはいいの?」
「えっ」
……確認してみたら確かにトーポは脱走してたけど、ごまかされた感じがする。それより追わないと……。
「どうしたの、待ってよ!」
小さいけどトーポは早い。そして動きといえば転がる、駆ける、転がる。その上小回りがきくから見失いそう。追い打ちを掛けるように地面の色と同化しているし……。
あっという間に距離を引き離されて、それでも何とかトーポを目で追っていると、その先には立派な建物があった。村人から話を聞いていたけど、あ
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