8話 誤解
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赤は普段から選ばないし。
いやいや、それ以前にエルトは盗賊に見えるような顔じゃないし。ヤンガスは……悪い、フォロー出来ないけど。少なくともエルトは割と何処にでもいそうな旅人スタイルにとっても澄んだ目。うん、目が澄み通ってて羨ましい。だから普通は賊には見えないんだけどな、私には。
ヤンガスだけで判断しているんだったら……元本職だから、にじみ出る雰囲気でもあるんだろうか。でもヤンガスは心優しい人だし……。動物に優しいんだよ?陛下と姫様を襲ったことは許してないけど。あ、それか!まだあの事件から一週間ぐらいしか経っていないんだぞ!
「ねぇ坊や……」
「盗賊の一味め!覚悟!」
取り敢えずそう質はよくなさそうだとはいえ、剣を持っている少年に斬りかかられてっも面倒だ。だから説得のために話しかけようとしてしゃがんでみれば、兜をかぶった少年が言い終わる前に叫びながら斬りかかってきた。
やれやれ、この世界のこれぐらいの歳の子は血気盛んなのかな……?そういえば、遥か昔に私を刺してきたあいつもこれぐらいの年じゃなかったっけ?うう、思い出したら寒気がしてきた。まだ昔の私を殺す前の事だったから何気なくトラウマだ。
「よさんかっ!」
「ちょっと失礼しますねーー。って、おお」
顔を切られたらいくら鍛えていても怪我するので手甲で弾いて剣を地面に叩きつけていたら、村人のおばあさんが子供たちにげんこつをお見舞いして止めてくれていた。
一方最初に絡まれていたエルトとヤンガスは困惑したようにこっちを見ていた。……ちょっと、私が止めていた時お前らは何もしてなかったのか。私だってこれは傷つくぞ。一応斬られかけていたんだぞ!……うん、気にしてないけど。一人ノリツッコミって辛いね……。
「すまんことをしたの」
「いえ、怪我もありませんし。子供たちが元気なのはいいことですよ」
「しかし、何の罪もない旅人さんにつっかかるとは。キツく叱っておきますのでな」
おばあさんはもう一度少年たちをポカリと叩いた。……兜と鍋をかぶっているのに、痛がっている……だと。どんな力が加わっているんだろう……おばあさんの手は赤くなっていないし……うむむ。
「……ばあちゃん!こいつらきっと盗賊だ!」
「黙らっしゃい!どこがそう見えるだね!」
「あの……ここまで警戒するなんて、何かあったんですか?」
まだ叫ぶ少年たち。怒るおばあさん。疑問を口にするエルト。盗賊扱いされて地味に落ち込んでいるヤンガス。普通じゃない状況になんかすごく村人さんたちに注目されているんだけど……。
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