7話 向上心
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。いや……彼女はモノトリアであり、そうではない。古き血を引いているのは、「彼女」にとってはたまたまに過ぎず、どうでもいいのだ。
それと同時に、「彼女」の友であろう青年も、己の生まれた理由を知る日が来てほしいと願う。
やれやれ、ご客人たちの運命はどれも数奇で、どれも非凡。少しだけ覗くだけでもこちらが吸い込まれそうだ。
「ご自分を、大事に……貴女は誰よりも強いが、それでも女だ」
「……!……お気遣い、痛み入ります」
・・・・
「おはようみんな」
「おはよう……あ、トウカが復活してる」
普段通りの柔らかな笑みを浮かべたトウカに、温厚な幼なじみは嬉しそうに挨拶を返した。その後、昼すぎまで寝ていたという事実をネタにからかわれ、もう一度布団に潜り込みかけて一階まで引っぱり……引きずり出されることになるのだが。
「ボクは何時でも元気さ、体力的に」
「うん、それは天と地がひっくり返っても間違いない」
独特のノリで頷き合う二人はまた笑い合う。これから歩む、道も知らずに。ある意味では血に塗られ、涙を失っていたはずのトウカすら涙をこぼし、茨道でありながら世界を救い、殆どの人に名前すら知られることもなく平和を取り戻すというのに。
「……すまないが、穏やかな話は此処までだ」
「もしかして、それはドルマゲスのことですか?」
「ドルマゲスッ?!」
ぼそりとこぼしたトウカの声に瞬間的に反応したヤンガスが跳ね起きる。そしてどたどたと階段から降りてきた。それを咎めずルイネロは手を水晶球にかざし、占いを始めた。ドルマゲスの行方を見るために。さっと不安げな顔になった三人はただルイネロを見やるだけだった。
「むむ……見えるぞ。関所……道化師……そなたらの言うようにあやつはドルマゲス……おお、関所は破られ……」
「関所、……、リーザス地方への関所か」
「トウカ、知ってるの?」
ルイネロの占いが終わるのを待たずに二人は話し合う。不意に話さなくなったルイネロをヤンガスは急かした。もう少し詳しく分からないものなのか、と。だがもう一度目を凝らしたルイネロが発見したのは水晶玉に書かれたザバンの落書きだけだった。
「あの関所には精鋭のトロデーンの兵士がいるよ」
「……でも、破られたって」
「兵士が心配でがす」
早くも飛び出しそうなヤンガスを引き止めてまで話す姿にルイネロは笑いをこぼしそうになる。それをこらえて言う。
「早くいきなさい、進みなさい」
と。そう促す。
そして、若き竜の勇者よ、高貴なる勇者よ、勇猛なる戦士よ、どうか世界を救いたまえ、と願う。全て見えたわけではないが、感じ取れてしまった未来の危機を案じて。
・・・・
・・・
・・
・
「いまならドラゴ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ