暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
5話 乱闘
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 経緯を説明すれば、ユリマという女の子の頼みを陛下が聞いて、そのせいで僕らはじめじめした洞窟で魔物を狩りまくっているってだけなんだけど。

「まるで林檎を握りつぶすみたいに雑魚ばっかりだ」
「……それは雑魚の例えなの?」
「あっしは出来るでがすよ?」
「あ、そう……。僕も出来るって便乗すればいいの?」

 頼りの明かりである松明を僕に押し付けたトウカは、現れる魔物がこちらに敵意を示した瞬間に切り捨てて進んでいく。

 ここはごうごうとした水の音が響く滝の洞窟。外よりも魔物が強く、おかしな姿の魔物も多かった。だけどそういう違いはあまりトウカには感じ取れていないようで。関係ないねという声が聞こえて来そうな勢いで狩っていくだけ。

 僕とヤンガスはそれを半ば傍観し、偶にこちらに向かってくる魔物を切り捨てるだけだった。それも結構瀕死の手負いばっかり。まぁ、最前線で踊るように斬りまくり、時には嵐のように暴れ回り、そしてまた乱舞するトウカをかいくぐる魔物はあまりいなかったけれど。

「靴とかもぐらとか、変なの」

 結構な勢いで振り下ろされたスコップをとっさに剣で受け止めた僕をトウカは観察する。その余裕しゃくしゃくな態度が憎い。僕は流れ玉……もとい流れ魔物を切るのですら酷く苦労していたから。瀕死なら簡単だけど、今回みたいに怪我をしていないやつなら。

「……んーー、エルト、ボク松明変わるよ」
「ありがとう……」
「かわりにさ、戦闘のアドバイスしてあげるからエルトとヤンガスだけで戦ってよ?」
「絶対に嫌だよ!」
「決定事項は覆らないよ?」

 僕の手から松明をもぎ取ったトウカは構えていた大剣を鞘に収め、片手に松明、反対の手に腰に挿していた短めの剣を引き抜いて構え、無邪気ににこにことした。

 駄目だ、こんな時のトウカは有言実行。……嫌だよ、あの数の魔物と戦うの……僕はトウカほど強くないのに。戦い慣れだってしていないのに……。

「ヤンガス、よそ見一回!」
「すいやせん!」

 内心嘆いている間にもトウカはヤンガスの背後に迫ったガチャコッコを蹴り落としていた。蹴りは素早すぎて目撃していたはずの僕にも見えないほど。

 ああ、うん……アドバイスと……怪我しそうなときの補助はしてくれるの……?それならもう、最初から戦ってよ……。

「それじゃあエルトが強くなれない!」
「……僕の考えを読むの、得意だよね」
「そうさ」

・・・・

 エルトは同世代ではかなり強い。数居る近衛兵の中でもかなり強い部類だ。近衛兵だけじゃなく、兵士全体でも結構上の方だ。だけど……魔物との実戦経験は少なめ。年若いからね……。それ以上に、トロデーンの兵士全体の弱さが伺えるね。陛下を貶す訳
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