4話 理不尽
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「……入りにくい、この空気……」
「年齢的には問題ないよね、僕達はもう十八歳だから……」
街中では実に威勢良く情報収集をしていたトウカだったけれど、情報が大集結していると誰でも分かる酒場にはどうしても入りにくいみたいだった。
成人は十八歳……十五歳でも一人前っていうか、兵士になったのはその歳だ。十八歳といえば結婚もできるのにね。貴族なら結婚している人も多いって前に言っていたよね?なのに何故そこで止まる。
まぁ……気持ちは、少しだけわかるけどさ。分かるけど、僕だってそこまで葛藤しないよ?……僕も年齢を誤解されかねない童顔、だけど。入ったら好奇の目に晒されるのは分かっているけど……。それでもそこまで戸惑わないよ?
「箱入りだから」
「無駄にキメ顔しなくていいよ」
「大衆の娯楽の場にボクが入った事があるとでも思っていたのか?」
「……確かにトウカのお父さんはとても過保護だった。お母さんは物凄く溺愛してたね」
「…………止めろい、恥ずかしいなぁ」
ふと思い返して言ってみると、思い出したのか耳まで真っ赤になったトウカはそっぽを向く。こっちが見てても恥ずかしくなるぐらいに溺愛されていたよね。羨ましいを通りこして哀れだったぐらいに。そりゃこんな所に行くような機会があるはずがない。
でもね、入り口のドアの前で立ち往生するのは邪魔だから。という訳で背中を押してドアを開けさせ、中に入った。
・・・・
「居たたまれないこの感じ」
「トウカの兄貴、緊張しなくても大丈夫でがすよ」
「本当?じゃあヤンガスにくっついとこ」
年相応に決して見られないトウカにまばらな客の視線が集中する。僕もさっきも言ったけど童顔だし、ちょっと居心地は悪い。トウカのお陰で視線は分散していて大したことはないけれど。トウカを盾にしている?……そうかもしれない。
それでも今、真っ昼間だからあんまり人がいないから良かった。まばらっていうか、本当に暇そうな人とか、たまたま仕事が休みらしい人しか居ないからね。
「…………」
「まさに借りてきた猫……」
「聞いてきてよ、ここにいる、あらゆる人に」
「ここに来て丸投げしないでよ」
「……」
いくら居づらいからって、情報収集を丸投げされるとは。……ここまで楽させてもらった分やってもいいけど……。でもね、トウカ。ヤンガスと一緒にいるのは目立つってものじゃないんだよ?目立ちに目立っている、というべき?僕としてはトウカとヤンガスが目立てば僕が目立たなくていいから有難いんだけどね。
にしても、ここにいる人にはトウカとヤンガスの関係は何に見えているんだろう。親子にしてはちょっとばかり年が離れていないし、年齢の離れた兄弟といってもヤンガスがトウカを「兄貴」呼びしているし。知
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