30部分:第三十章
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第三十章
「では行くぞ」
「はい」
シートベルトをしてからそのうえで旅立つ。マシンは超音速で空を飛び一瞬で大阪城まで辿り着いたのであった。まさに一瞬であった。
「さて、到着じゃ」
「えっ、もうですか!?」
小田切君は気付けば到着していたのでまずは唖然となった。
「今乗ったばかりですけれど」
「このマシンはマッハ四で飛ぶことができるのじゃよ」
博士はまたまた誇らしげに言ってのける。
「無論乗ってる者にはバリアーで防御もされるから衝撃や重圧からは安全じゃ」
「そうなんですか」
「当たり前じゃ。さもないとわしも吹き飛ばされる」
そのことを警戒していてのことであった。
「そうなっては元も子もあるまい」
「確かにその通りですね」
小田切君もそれには素直に頷くことができたのだった。
「操縦する人があってのことですからね」
「その通りじゃよ」
「そうですね。それにしても」
小田切君はライゾウ、タロと一緒に地面に降り立った。そうして大阪城の周りを見回すがその有様を見て思わず顔を顰めさせたのであった。
「これはまた随分と」
「酷いな、これは」
「天守閣はかろうじてあるけれど」
ライゾウもタロも顔を顰めさせる。見れば見えているのは天守閣だけであり他には何も見えはしない。瓦礫の山だけが広がっているというとんでもない有様であった。
「何、これ」
「そんなに酷い爆撃を受けたの?」
「この辺りは確か軍需工場があったからね」
小田切君は歴史の知識を振り返りながら彼等に述べた。
「だから集中的な爆撃を受けたんだったよ」
「左様。アメリカ軍はついでにわしの研究所も爆撃しようとしてきおった」
博士も狙われていたのであった。
「日本で東条英機に匹敵する悪とか言われてのう」
「それで研究所もB−29に襲われたんですか」
「頭に来たからレーザービームで全部撃ち落としてやった」
この時から異常な科学技術を持っているのだった。
「何度か来おったが遂に諦めおったわ」
「この博士には原爆でも無理だよな」
「今の技術でも絶対に倒せないしね」
まさに不死身、不滅の博士であった。これまた人類にとって全くいいことはない事柄である。何しろ地球を破壊しかねない人物が不死身だからだ。
「そんな人間が不死身なんてよ」
「物凄い災厄じゃない」
「災厄!?何時聞いてもいい言葉じゃ」
そしてこれは博士にとって褒め言葉なのであった。
「わしは永遠の災厄じゃ。全てを破壊するのう」
「まあそれはいいですけれど」
とりあえず小田切君は廃墟の中に何とか生き残っている天守閣を見ながら博士に対して言うのだった。天守閣はあの青い瓦に金の鯱を見せていた。
「博士、太閤が来ていますよ」
「むっ!?」
「ほら、あそこに」
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