2話 錯乱
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がせてもこっちに見せることはもう、無い。
「呪いだ」
「…………え?」
「義母上は間違いなく生きている。これは呪いだ。テロか?モノトリアを狙ったのか?それとも城ごとか?狙いは?陛下?姫様?私?義母上?……私に魔法が使えたら、シャナクを今すぐ使うのに!神父様を呼んでくる!待っててくれ!」
トウカは走り去った。声こそ叫ぶように大きかったが、その表情だけは鉄仮面のように無表情のまま。冷静ではなかったんだ。トウカは、得意だった感情の操作すら満足に出来ないほどに混乱している証。……、まだ、小さいころのトウカが失われた訳じゃないんだ、と不謹慎に安心してしまう。トウカは喜びも笑いもするけれど、怒りも悲しみもあんまりしなくなっていたから……。
走り去ってしまったトウカは瞬く間に廊下の向こうに消える。仕方なく僕はトウカの母君に目線を移した。
その、ため息の出るほど美しい、黒髪の女性は虚ろな黒い目から一筋涙をこぼしていた。あぁ良かった。トウカが言うようにこの人は確かに生きている。彼女はトウカと、どこかミーティア姫に似た容姿だった。単に黒髪だからかもしれないけれど。
かすかに緑がかってもなお、白い肌に色彩の少ない色を持つ彼女は……確か、偉大な魔術師じゃかったっけ……。
あれ、この人がこの呪いに負けるなら、もし国中が、城中がこの調子なら、神父様は……、駄目なんじゃ……。
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