ターン46 鉄砲水と毒蛇の神域
[3/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どうしよう、まさかこっちが乗り気になるとは思わなかった。猛反発される覚悟は寮を出た時点でもうできてたけど、この反応は想定外。よっぽど鬱憤溜まってたのかな、チャクチャルさん。そうこうしているうちに問題の場所、旧SAL研究所にたどり着いた。だけど油断はできない、この近くに監視カメラが仕込んであることはアモンとのデュエルで確認済みだ。
「カメラは任せたよ、うさぎちゃん」
気づかれないようそこら辺の茂みの陰に隠れてデッキから幽鬼うさぎのカードを引っ張り出して声をかけると、イラスト部分を通して銀髪少女の精霊が姿を見せる。彼女のスピードと観察眼、かつカメラに写らない精霊の特性をフルに生かせば5分とかからずこのあたり一帯の監視カメラは使い物にならなくなるだろう……ということで早速出撃してもらおうとしたら、そこで心底楽しそうにチャクチャルさんが口を挟んできた。
『その必要はない。足元を見てくれ、マスター』
「へ?……うわっ!?」
言われたとおりに足元を見ると、いつの間にかあたり一帯に紫色の……チャクチャルさんと同じ色をした炎の筋が走っていた。複雑なルートを通りつつ研究所をもすっぽりと覆い尽くすほどの大きさなそれは静かに燃えているものの、至近距離だというのにまるで熱を感じない。
『言っただろう、派手に行くと。そういえば、マスターにはまだ教えていなかったか?細かい使い方は後で教えるが、これは地縛神の力による結界の一種だ。本来は一度張ったが最後、内部でデュエルが終了するまで何人たりとも邪魔をすることができないという代物だが、少し応用すれば違う使い方もできる。これでこの結界がある限り、機械の視線なぞ無いも同然だ。さあ、日が昇る前に決着をつけに行こう』
相変わらず妙なやる気を全開にしているチャクチャルさんに若干調子を狂わせながらも、日が昇る前に終わらせたいのは間違いないので反論せずに進むことにする。
「自動ドアならウィーンって開いてくれるんだけど、まあ」
『霧の王、任せたぞ』
前に立ってもうんともすんとも言わないドアを前に「そううまいこと行くわけないよねー」と続けようとした僕の言葉を遮り、チャクチャルさんからの指令が飛ぶ。耳元で数回ほど空気が唸り、次の瞬間には帯刀した霧の王の背後で分厚い壁が人1人通れるほどのサイズにくりぬかれて内側に倒れた。チラリと見た断面はまるでバターのようになめらかで、手にした剣の切れ味と持ち主の技量が垣間見える仕上がりとなっている。
『さて、道はできた。このまま進むぞマスター』
「あ、はい……」
『何を驚くことがある?私たちはマスターに従う覚悟があるからこそ精霊としてここにいる身、今日はこれまでマスターの意向もあってしぶしぶ大人しくしていた連中が溜まりに溜まった鬱憤
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ