24部分:第二十四章
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第二十四章
「じゃあここはどうもなんだな」
「不安ってわけだね」
「うん。そうじゃなくてもあの二人がこのまま全面衝突すれば本当に」
「ローマ崩壊も本当にあるよな」
「この時代のローマが」
「それだけで歴史はかなり変わる可能性があるよ」
ローマはローマ帝国の心臓である。その心臓が壊滅すればローマ帝国自体に多大な影響が出てしまう。それがひいては歴史にも影響を及ぼす恐れがあるのである。ローマは当時の欧州を支配している超大国だ。そのローマが揺らげば周辺の異民族やパルティアといった敵対国家、それに皇帝に対して不穏なものを抱いている地方総督達がどう動くかわからないからである。それがローマの、それに続く後世の歴史を変えてしまう恐れがあるのである。
「だからね」
「この闘いを放置しとくと危険なんだな」
「けれどさ」
しかしなのだった。彼等が言うのは。
「止められないだろ?あの二人は」
「それこそ特撮のヒーローでもないと」
「無理だね」
小田切君も実にはっきりと答える。
「それこそ。巨大ロボットでもないとね」
「だよなあ。やっぱり困ったな」
「どうしようか」
「どうしようもないしね」
もうこれだけははっきりわかっているのだった。そもそも普通に自分達で時空を超越できたりどんなものでも発明できるような者達を止められることなぞ到底不可能なのである。例えライゾウやタロが話すことのできる動物だとしてもそれだけでしかないからだ。
「あんなの。白い炎に」
「氷の船って」
「あの船にしろ」
小田切君は少し鋭い目でその氷の船を見ていた。
「ただの氷の船じゃ絶対にないね」
「そりゃ空飛んでるしな」
「どう見てもね」
それはライゾウにもタロにもよくわかった。しかしそれ以上になのだった。
「けれどそれ以上にかよ」
「あの船にはまだ何かあるんだ」
「もう洒落にならない位の猛火に対するには」
その白い炎にである。
「普通の氷じゃ無理だからね」
「そもそもあの博士が普通の氷なんてな」
「それ自体が考えられないことだしね」
博士のことを知っていて少し考えればなのだった。答えは自然と出る。あの博士に普通というものが全くないことは最早常識だからだ。
「じゃあやっぱりよ。あの氷の船はよ」
「またまた洒落にならないものなんだ」
「さて、どう洒落にならないものかな」
小田切君はまた首を捻りながら述べた。
「果たして」
「それすらわからないんだからなあ」
「一体何が出て来るやらね」
「そうなんだよね。冗談抜きで壮絶なものが出て来るのは間違いないけれど」
それだけははっきりと言えた。
「果たして何が出て来るかね」
「さて、それではじゃ!」
その時またしても博士が叫んだ。
「この氷の矢を受けるがいい
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