第二十七話 デートじゃないのにその三
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「摘み取ったらそれで終わりだけれど一緒に過ごしていたら何時でも見られるじゃない」
「ええ、そうですね。そういえば」
「だから。摘み取らないでね。何時でも一緒にね」
「そういうものですか」
「そういうこと。わかったわね」
「はい」
私の言葉に頷いてくれました。意外と素直なところもあるのでしょうか。そんな話をしながら横断道路まで二人で向かいます。
「それでね。お花と一緒に歩いていくものなのよ」
「お花は歩かないですよ」
「例えよ」
阿波野君に目を向けて言いました。
「これはね。つまりお花って女の人よね」
「ええ、そのつもりですけれど」
「女の人から見たら男の人がお花なのよ」
これもお母さんに言われました。つまり人間はそれぞれがお花なんだって。お母さんに小さい頃に教えてもらった言葉です。
「だからね。お花とお花で」
「そういうものなんですね」
「わかるかしら、これって」
「何となくですけれど」
考える目で答えてきました。
「一応わかったつもりです」
「何度かじっくり考えたり聞いたりするといいわ」
「じっくりですか」
「一番いいのは勉強することね」
少し付け加えました。
「それが一番の近道だし確実な方法よ」
「じゃあ先輩」
急に言葉が真面目になってきました。
「色々と御願いしますね」
「私にできることならね」
今度は何を言いたいのかわかりました。
「まあまずは教典と教祖伝を読んだらいいわ」
「最初はそれですか」
「この二冊に描かれてあることがやっぱり一番重要だから」
私も物心ついた時から随分と読んでいます。何度も何度も読むと一回読んだだけでは気付かないことが沢山あるものだと。それを実感しています。
「それとおふでさきね」
「おふでさき?」
「教祖が残された和歌の形式にした教えなのよ」
おふでさきのことも教えてあげました。
「全部で千七百十一首あるのよ」
「滅茶苦茶多いですね」
「全部で十七号あってね。それを読むのもいいわよ」
「それでも色々とわかるんですね」
「ええ。やっぱりこれも何度も読んでね」
「わかりました」
「とにかく何度も読むことよ」
このことをとにかく強調しました。
「それでわからないこともわかってくるから」
「けれど僕天理教のことはまだ全然わからないですし」
今度は声がぼんやりとしたものになっていました。
「困ったら教えて欲しいな、なんていうのは」
「別に。いいけれど」
そういうことなら歓迎です。私も教会の娘ですし。話を聞いていて意外と可愛いところもあるのかしらなんて心の中でこっそりと思ったりもします。
「それはね」
「じゃあ御願いしますね」
「こちらこそね」
「いや、それにしても」
また言ってきました。
「花と
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