第二十七話 デートじゃないのにその二
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「余計にいいわよ」
「一五〇以下の人も多いんですか?」
「多いわね」
つまり私より小さい人です。
「そういう人も」
「けれどまあ」
私の話を聞いても阿波野君はあまり嬉しくないようです。
「あれですよね。一人いればいいですから」
「一人でいいって?」
「あっ、何でもないです」
「何でもないの」
「だから気にしないで下さい」
「?また変なこと言うわね」
急に態度がよそよそしくなったんで私も首を傾げてしまいました。
「一人でいいって」
「とにかく先輩」
また私に声をかけてきました。
「この道を出たらイチョウの木が並んでますよね」
「そうよ」
私達は今下り坂の道を歩いています。そこで阿波野君と話しているんです。この道も天理高校の生徒がよく通る道で前と後ろに何人かいます。
「もう見えてるわよね」
「ええ、まあ」
「秋になれば金色で奇麗になるわよ」
「けれど匂いがきつそうですね」
「それはね」
これを聞いて少し苦い顔になってしまいました。
「まあそうだけれど」
「やっぱりそうですか」
「秋になったらね。それが困るけれどね」
「何か秋が楽しみですね」
匂いがって意味じゃないのはわかりました。
「また先輩と二人でデートして」
「だからデートじゃないって言ってるでしょ」
何度言えばわかるんでしょうか。この子は。
「いい加減に理解しなさいっ」
「まあまあ。ところでですね」
「何よ」
「このまま詰所に行くんですよね」
「そうよ」
今度ははっきり答えることができました。
「ここからだと本当にすぐよ」
「あっ、もう見えてますね」
「そう、近道なのよ」
このことを教えてあげました。
「商店街よりずっとね」
「いいですね、急いでる時なんかは」
「そうね。けれどそれでも匂いがね」
私はどうしてもこのことが気になるのでした。
「凄いからどうしても」
「それが嫌なんですね」
「ええ、秋はね」
やっぱりこのことを言うのでした。
「どうしてもね。奇麗なのだけれど」
「奇麗な薔薇には棘があるっていいますしね」
それはかなり違うような気がします。けれど阿波野君はそれで満足しているみたいです。その辺りがどうにも理解できないところなのですが。
「匂いがあってもおかしくないですよ」
「そういうものかしら」
「おぢばの人達もそうですか?」
何気に深いことを尋ねてきました。
「やっぱり。奇麗な薔薇には」
「棘のない薔薇よ」
私はこう阿波野君に言ってあげました。
「そういう棘を取るのが天理教だから」
「棘のない薔薇ですか。それって凄いじゃないですか」
「けれど摘み取るものじゃないから」
一緒にこのことも言いました。
「そこのところはよく認識しておいてね
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