第二百五十一話 周防の戦その九
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「そうは出来ぬ」
「そう言って頂けますか」
「策を出したのはわしじゃが」
「兵をここまで動かしたのは」
「御主じゃ、よくやってくれた」
これが信長の言葉だった。
「これで我等は勝った」
「この戦に」
「うむ、ではわしは本陣におるが」
それでもと言う信長だった。
「采配はこれまで通り御主に任せるか」
「何を言われますか」
ここでだ、信長を叱った声が来た。信長がその声がした方に顔を向けると平手がいた。馬に乗り背筋をしっかりと伸ばしている。
「この戦は魔界衆を滅ぼす戦ですぞ」
「だからというのか」
「上様が采配と執られずしてどうします」
「ここはわしが采配を執りか」
「はい、そしてです」
そのうえでというのだ。
「魔界衆を滅ぼすのです」
「そうするのが筋か」
「はい」
まさにというのだ。
「ですから」
「そうか、ではな」
「はい、ここは上様です」
また言った平手だった。
「お願いしますぞ」
「それがしもそう思いまする」
信忠も微笑み信長に言って来た。
「やはりこの戦はです」
「魔界衆を滅ぼす戦だからか」
「父上が執られるべきです」
采配をというのだ。
「是非共」
「そう言うか、ではな」
「はい、これよりです」
「全軍父上の下において動きます」
「わかった、ではじゃ」
ここまで聞いてだ、信長は。
自身でだ、こう全軍に告げた。
「撃て、四方八方からな」
「鉄砲をですな」
「それを」
「そうじゃ、三段でじゃ」
長篠以来のその撃ちをせよというのだ。
「敵が来たら弓矢と槍で押し返せ」
「そうして囲んだ敵を撃ち」
「攻めていきますな」
「攻めつつじゃ」
さに言う信長だった。
「敵との間合いを狭めよ」
「徐々に」
「そうしていきますか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「敵を寄せぬままな」
「弓矢と槍で、ですな」
「向かって来る敵は寄せず」
「鉄砲で撃ち続け」
「徐々に」
「三段を撃ちな」
そしてというのだ。
「そこから三歩踏み出す位にじゃ」
「そうしていき囲みを狭め」
「やがては」
「完全にじゃ」
まさにというのだった。
「潰せ、よいな」
「果物を削る様にしていきますか」
こう言って来たのは信広だった。彼と信行は本陣にいる。
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