2部分:第二章
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第二章
「それを食べてじゃ」
「それと自由軒の名物カレーに夫婦善哉に」
「そういったものを食べてじゃな」
「あとハードロックカフェ行きません?」
実に難波の店のことをよく知っていた。
「店の場所変わりましたけれどね」
「とにかくあちこちに行くのじゃな」
「ですから食い倒れですから」
とにかく小田切君の関心はそこにあった。もっとはっきりと言ってしまえばそこにしか関心がなくなってしまっていた。やはり食い気ばかりである。
「食べましょう。二人と二匹で」
「おっと、やっと思い出したな」
「待ってたよ」
ここで今まで二人の足元にそっと誰にも気付かれないように静かにしていたライゾウとタロが言ってきた。この二匹も二人に同行しているのである。
「それじゃあまずはラーメンだよな」
「僕達香辛料とか全然平気だから安心していいよ」
「そういえば平気なんだよな」
小田切君も二匹のそうしたところについて言った。
「それも全然だよね」
「おうよ、何を食っても全く平気だよ」
「熱いのも冷たいのもね」
「やっぱりそれも改造の結果かなあ」
「その通りじゃよ」
その改造を施した張本人の言葉である。
「わしを誰じゃと思っておる。知能指数二十万じゃぞ」
「知能指数二十万って」
「わしの頭脳は常にフル回転しておる」
そういうレベルではないが言うのだった。とりあえず博士の頭脳が常人のそれを遥かに凌駕するとかいうレベルですらなく殆ど特撮の宇宙人レベルなのだった。
「それも完璧にな」
「だからそういうこともできるんですか」
「そうじゃ。簡単なことじゃったぞ」
博士にとっては動物の味覚を変えることなぞ造作もないことなのだった。
「全くな。それでじゃ」
「はい、今度は何ですか?」
「とりあえず金龍ラーメンじゃな」
話は食い物に戻った。やはり博士の関心もそこにあった。
「それを食べて自由軒に行ってカレーを食べてじゃ」
「後夫婦善哉にも行って」
「夕食はハードロックカフェじゃな」
「とりあえず食べられるだけ食べますか」
「それで朝は立ち食いでいい店を知っておるしのう」
とにかくあらゆるものが美味いのが大阪なのである。逆に言えばまずいものを見つける方が難しい。まずければそもそも最初から商売ができないからだ。
「そこに行ってじゃ。とりあえず大阪城に行くのは明日じゃな」
「そうしましょう」
こうしてとりあえずは食道楽に走る彼等だった。その夜はそれこそ腹が張り裂けるまで食べホテルに泊まりそのうえで。朝起きて立ち食いできつねうどんを食べてそのうえでようやくその目的地である大阪城に向かうのだった。
大阪城は長く深い水掘がありそれがまず一行の目に入った。周りには木々が深く立ち並び林を思わせる。その中央に水色の
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