暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第16話?風と光の剣戟
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に僕は一か八かカタナを素早く腰だめに構え、刀身が銀色に輝く。
?カタナソードスキル《絶空》。カタナソードスキルの基本技で、簡単に言うと水平斬りだ。
?視認すら難しい速度でカタナが閃光に接近する。閃光は軽く目を見開いたあと、僕を刺そうとしていた細剣を自分の体まで引き戻し、バックステップをした――状況判断が驚くほど早い。がら空きだった閃光の細い腰に直撃するはずだったカタナは、体のすぐ近くまで戻っていた細剣にぶつかり、激しい火花を散らせ、閃光の体が後ろに飛んでいく。ほんのわずかに閃光のHPゲージが減少する。
?……やはり、浅い。直撃していたら僕の勝利でデュエルは終わっていただろうが、数ドットしか減ってないこれでは初撃判定までには至らない。反射的に舌打ちをしそうになるが、寸前で止める。
「……まさか、あの状況でソードスキルを撃つとは思いませんでした。さすが、疾風の二つ名は伊達ではありませんね」
?数メートル離れた場所にいる閃光の顔に一筋の汗が流れる。だが、焦ってはいない。まだまだ余裕の表情をしていた。
?僕は警戒を解かずにカタナを両手で構えながら、口許を笑わせる。
「その疾風って名前、イヤなんだよね……まあ、もう無理だろうけど。そっちこそ、さっきの攻撃を避けたこともだけど、あんなに速い剣撃、今まで受けたことないよ。さすが閃光様と言ったところかな。疲れ切っていて、そのスピードとはね」
「……その呼び方、やめてください……っ!」
?そう言うが速いか、閃光が僕に向かって疾走してくる。瞬時に頭を切り替えて今度は迎え撃つのではなく、構えたまま後手に回る。
?閃光の細剣が黄色に輝く。直後、閃光の右手が消えた。僕は反射的にサイドステップする。空気を切り裂くような音がすると同時に、僕がさっきまで立っていた場所に――僕の左胸の位置だった――細剣が存在する。
?驚愕に襲われそうになるメンタルを奮い立たせ、お返しとばかりにカタナを薙ぐ。しかし、空中に逃げられ、空気を斬るだけで終わる。そのまま空中で回転したあと、さらに後方で着地しようとする閃光に追い撃ちをかけるべく僕は着地地点まで先に走り、着地したと同時にカタナを連続で斬り込む。だが、閃光は、ほとんど体を逸らすことで避けていく。せめて反撃させないように攻撃のテンポをさらに上げた。
「確かにあなたは強いです。まだ数日しか握ってない武器を、もう今まで使っていたかのように使いこなしている。元々のプレイヤーとしての技術も高いのでしょう。――ですが、今のあなたでは、わたしには勝てない」
「何を……!?」
?踏み込んで、大きく薙ぐ。しかし、これも空振り。三メートルほど先で立っている閃光が冷静な口調で言葉を続けた。
「薄々自分でもわかっているんじゃないですか??――ソードスキルをほとんど習得していない自分では無理だ、と」

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