SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第16話?風と光の剣戟
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周りがざわつく。だが、閃光は静かに口許を笑わせて自信ありげに応えてくる。
「それはあなたも同じです。あとで泣き言言われても困りますから」
?その言葉に、僕は思わず口の端がつり上がっていくのを押さえきれなかった。
?どうやら、僕は目の前にいるプレイヤーに対して間違った認識をしていたようだ。普段――というより、僕の見てきた限り攻略のことしか考えていない、堅物人間だと思い込んでいた。だが、こんな風に挑発されたら負けじと挑発し返す、ひとりのプレイヤー――ひとりの感情をもった人間だということを今更ながらはじめて理解できた気がした。
?しかも、きっと僕の好きなタイプの人間だ。好戦的、というか負けず嫌いな性格の人間は嫌いじゃない。
「僕が勝ったら、約束通り四日後にある今回のボス戦前日まで、つまり今日含めて二日は休んでもらうからね」
「わかりました。逆にあなたが負けたら、わたしは普段通りにボス攻略に挑みます。それに関してあなたも、あなたも友達も口を挟むことは許しません」
「もちろん。約束さ」
?カウントはすでに五秒を切っていた。
?四……三……二…………
?不意に風が吹き、お互いの髪がなびいた。カウントがゼロになる。そのときにはお互いさっきまでいた場所にはいなかった。
?周りがまたざわつくのと同時に、カウントがあった真下でカタナと細剣が交差する。すさまじい衝撃波と音が地面に生えている草を同心円上に押し倒す。
「く……っ!」
「はぁあ……!」
?気迫が重なり、鍔迫り合いから今度は高速での武器のぶつかり合いが始まる。
?閃光の流星のような連撃をカタナでいなしながら、時折カウンターを放つ。が、向こうは最小限の動きで回避したあと、突き攻撃を再開してくる。負けじと僕もカタナで打ち落とす。完全に防戦一方だ。
《突き》という攻撃は動作上、少し腕を捻れば軌道を変えられるし、直線的な剣筋のため構えまでの隙が少ない。閃光が閃光であるためのスピードが無制限と言っていいほど繰り出してくる。
?対する僕は、基本的に突き攻撃はほとんど使わない。カタナという武器の形質上横に振った方が効果的だからだ。何より両手武器であるカタナで突くのは、振るよりもわずかに時間がかかる。今のようなスピードが命の勝負では、確実に命取りだ。一旦距離を置いて体制を立て直したいが、少し気を緩めたら間違いなく串刺しになる現状でそれは厳しい。どうにかして向こうの隙を作らねば。
?お互いのHPゲージは、まだ微塵も減っていない。だが、このままだと明らかに僕の方が不利。初撃と判定されるほど削られるのも時間の問題だ。
?しかし、疲労しきっているのにこの速さ。いったい体調が万全だったのなら、どれ程なのか。少し考えただけでヒヤッとする。
?閃光の攻撃をカタナを使わずに体を逸らすだけで回避し、そのわずかの瞬間
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