第十五話:罪纏う神裁の剣
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己とのトラウマを、真っ向から対峙する。
ああ、どいつもこいつも見覚えのある顔ばかり。人の良さそうな笑みを浮かべやがって。
知ってるよ。お前達の誰一人として、オレを恨んでいないってことなんか。
ああ、分かってるよ。
お前達への贖罪を乗り越えて、オレは必ずこの世界を終わらせてみせる。
「贖え、罪纏う神裁の剣!!」
その血塗れの真名を呼ぶ。
呼び掛けに答え、罪の名を冠する剣は黒い霧を吹き散らした。やがてその黒霧はオレを飲み込み、そして喰らった。
クリミナルエスパーダのスキルはソードスキルではなかった。
これはステータスアップの効果。その一刀に全てを宿す一斬必倒の剣。
振るえるのはただ一刀。それで倒せなければオレは死ぬ。
だが、
「それで、十分…!」
漆黒の剣の柄を握り締める。
残りHPが少ないのか、禍ツ神は未だ狂騒状態にある。だがもう、そんなことは関係ない。オレは、ただこの一刀をアレに刻む。それのみに専心する。
『■■■■■■■■ーーーーッ!!』
「エクスカリバー?????!」
『卑王鉄槌』。
極光は反転する。
全てを染め上げる白は、全てを飲み込む黒に変質する。漆黒の剣から、夜の闇よりも暗い黒が溢れ出した。
禍ツを纏う神が惹かれる程に、その闇は純黒を宿す。
地を蹴る。衝撃で地面が砕け散るのも厭わず、ただ魂の命ずるままに駆けた。
その様はまるで黒き流星だ。
気づけば、既に禍ツ神の懐深くにいた。
さあ、
振り降ろせ?????!!
「?????モルガァァアアアンッ!!」
† †
放たれた反転極光剣によって、その空間は闇に覆われた。光など存在しない。そんなものは、この純黒の前ではみんな無に帰す。この世界で、輝くことは叶わない。
だがその闇を、ここにいた誰一人恐ろしいと思わなかった。それは知っているからだ。この闇は何れ消え去るものだと。終世の英雄の前に立ちはだかった壁を喰らい潰し、光が戻って来るのだと。
そして、その闇は直後に放たれた光に切り裂かれた。
反転極光剣は、クリミナルエスパーダの効果が消えた刹那に極光剣へと立ち戻ったのだ。
『■■■ーーーーッ!?』
それは神の断末魔。
世界を終わらそうとする強靭な意思の前に、虚ろな武神は敗れたのだ。
全身を覆う甲冑ごと、脳天から叩き斬られた武神は、その身を膨大な光の粒子として消えた。
「……は、はは」
消え去って行く禍ツ神の巨体を見ながら、茅場は呆然としていた。
第九十九層。真の勇者以外は全て殺してしまうつもりで配置して
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