第十五話:罪纏う神裁の剣
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落胆を覚えながら、ディアベルの眼前に置いた解毒瓶に手を伸ばす。アルゴの指先が瓶に触れる寸前、青い腕甲に覆われた手が瓶を掴み取った。
「ディアベル!」
そのまま、麻痺に抗いながらディアベルは解毒薬を飲み干した。痺れが、徐々にだが薄れていくのを感じた。
無理矢理起き上がろうとするディアベルの腰からアルゴは飛び降りる。
「死ぬ覚悟なんか、俺にも、レンにもないさ。
絶対に皆は助ける。そして俺達も生きて帰る。その為の覚悟なら、疾うにできている」
青い聖騎士は再び立ち上がる。身体に残る不快な痺れを噛み殺して、その両手に騎士たる象徴を握り直す。
「ありがとう、アルゴさん。待っていてくれ、直ぐに終わらせる」
† †
「ぐっ……!」
右脇腹を抉る大刀。
左肩を穿つ大槍。
一撃のみで致命傷足り得る禍ツ神の乱舞を、ユメは紙一重でやり過ごしていた。意識はこれまでにない程に加速している。身体はいつもより軽いし、手に握る愛槍も不思議と重さを感じない。
それでも、紙一重で凌ぐのが精一杯だった。
所謂『ゾーン』という状態に突入しているにも関わらず、敵の攻撃の度に命の灯火が消し去られようとしている。
「……っ、まだ!」
だが、自分がここで倒れる訳にはいかない。後ろには彼がいる。こんなにボロボロになるまで一人でこの化け物を追い込んでいた、守るべき彼がいる。
例え、この命を落としてでも?????
「う、おおおッ!」
その覚悟を、ディアベルは認めなかった。
裂帛の気合いを以って、大刀を盾で弾き返し、大槍を剣で叩き落とす。衝撃と轟音が、フロアを揺らした。
それでも禍ツ神は止まらない。叩き落とされた大槍の代わりに、もう一本の刀を抜き放ち、大きく一歩を踏み出す。
二本の大刀に、血の如き朱が宿る。
「ユメさん、俺の後ろに!!」
アレは不味い。マトモに喰らえばHPなど欠片も残るまい。剣を鞘に戻し、両手で盾を握り締める。
『■■■■■■■ーーーーッ!!』
地の底から轟く雄叫びと共に、限界まで引き絞られた身体が解放された。恐らくは大刀二本による単発右薙。
全身全霊を以って、踏ん張れば??????????
「ぁ……ッ」
大刀と盾が衝突した刹那、ディアベルは仮想の肉体が崩壊する音を聞いた。
声を上げる余裕もない。世界を断ち切りかねない一撃で、ディアベルは盾ごと弾き飛ばされた。砕け散る盾の破片を撒き散らしながら、壁に激突する。
「ディアベル…!」
幸いにも、彼にはまだ意識があった。崩壊した盾の代わりに剣を抜き、それを杖代わりに立とうとするが、未だ麻痺が抜けきらないのも相俟
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