第十五話:罪纏う神裁の剣
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うに禍ツ神も右手の刀を振り上げた。その先には動かぬレンの姿。
その光景を、ディアベルは地に伏せて見守ることしかできなかった。
かつて己を救ってくれた恩人の、死の間際。夢にも見なかった、英雄の呆気ない死に様を??????????
「レンッ!!」
声が重なった。
しかし、一体誰と?????
「はあああっ!」
痺れる身体を懸命に動かしながら見たのは、振り下ろされた大刀を横から突き穿つ蒼の長槍。それを操る人物は、ディアベルも知る人物だった。
「ユメさん! 何故ここに…!?」
「オレっちが連れてきたのサ」
「アルゴさ、ぐっ!?」
頭上から、聞き慣れた声がした。その人物は身動きのとれないディアベルの腰に座り込み、緑色の液体の入った瓶を彼の眼前に置いた。
「ヒースクリフの野郎に麻痺られるのと同時に転移結晶で戻ってきたヤツがいてナ。一頻りの事情を聞いて、一緒にいたユメっち連れて駆けつけたって訳サ」
なるほど、幾らこの空間が結晶無効空間といえど、扉が閉ざされたとしても、部屋の主たるボスさえいなくなればその効果は消えて無くなる。だから
転移結晶も使えたし、後から来たアルゴやユメがこのフロアに入ってこれた。
そのクリスタルで帰還したプレイヤーは、臆病ながらも結果的に、レンの命を救ったということだ。
「そして、コレがこの世界で作れる最高ランクの解毒薬ダ。幾らゲームマスターが仕掛けてきた麻痺だとしても、この世界の上限は超えてないハズだからナ。多分、麻痺は解ける」
「なら、コレを早く皆に!って痛い!」
アルゴのゲンコツがディアベルの頭に落ちた。身動きのとれないディアベルは、その勢いで地面に顔を打ち付けるハメになる。
「最高レアがそう易々と作れて堪るかヨ。
……ソレが最初で最後なんダ」
この世界屈指の情報屋、『鼠』と『猫』が持てる知識と人脈と金と脅しを総動員して、やっと作れたのがこの一本だ。
だからこそ、この解毒薬で復活できるのはこの状況を覆すことができるジョーカーでなければならない。
アルゴはそれになり得るのは初めからディアベルくらいだと思っていた。この世界で生きるプレイヤーの命が、全てのし掛かるのだ。
だから、問わねばならない。
「お前に、死んでも戦う覚悟はあるカ?」
その覚悟を。その身を犠牲にしてでも、戦い続ける、あそこで寝ている大馬鹿と同じ意思を持つことができるのかと。
答えはすぐに帰ってきた。
「そんな覚悟はない」
「お前…!」
ハッキリとディアベルは断言した。
死ぬ覚悟はないと。レンと同じ意思は持てぬと。
?????ならば、ダメだ。この薬を、この男に渡す訳にはいかない
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