第十五話:罪纏う神裁の剣
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「行くぞッ!」
腹の底から叫ぶ。これが開幕の合図。同時、キリトとアスナが疾走を開始した。禍ツ神の左右へ別れ、その背後にいるヒースクリフへと?????
直後、轟音と衝撃が空を切り裂いた。巻き起こった突風に吹き飛ばされそうになり、剣を地面に刺してなんとか耐える。
キリトとアスナも同様だ。なんとか転倒するのを耐えているが、今襲いかかられたら一溜まりもない。
だが、目の前に屹立する禍ツ神はただ黙したまま。背負っていた二本の長槍を床に突き刺しただけで、オレ達を圧倒してみせたのだ。
背筋に冷たいものが流れる。この世界に汗という概念はない。だが、そう錯覚してしまう程、オレは恐れを抱いていた。
「?????ハッ」
そんな自分を、小さく嗤い飛ばす。
何を。今更、何を恐れると言うのだろうか。
「レン?」
不審そうにこちらを見るキリトを無視して、突風が収まらぬ内に剣を地面から引き抜く。
「くっ……!」
凄まじい風だ。今にも吹き飛ばされてしまいそうな暴風。今にも膝を屈してしまいそうで。
おもしろい。
「フッ……!!」
手に握った紺色の剣を、腰溜めから一息に振り上げる。
ソードスキルでもない、ただの斬り上げ。ただし、オレの持つ技術とステータスの全てを乗せた一閃。
護神柳剣流剣術?????《瀧f》。
そう、この世界に囚われる前。オレの我儘で通わせてもらっていた剣術道場で教わった技術。
最早、二年も通っていないオレが使う事は許されないだろうが、これが終わった後、師匠に頭でも下げに行こう。だから。
「?????禍ツ神よ、そこを退け」
風が止む。吹き荒れていた暴風は瀧fに切り裂かれた。
さあ、道は開けたぞ。
「オレが奴を引き付ける」
キリトとアスナが頷く。
濃紺の柄を握り締める。
「行くぜ、エスピアツィオーネ」
この贖罪の剣と戦った期間は、余りにも短い。それでも、ネロから貰ったインゴットからリズベットが作り出したこの剣は、オレの持つ剣の中で最も重大な意味を持つ。
そう、この剣の銘の通りだ。
オレが殺めたアイギスへの''贖罪''。そしてそれは、この世界を終わらせてこそ完遂される。
「剣たちよ!!」
背後に現れるはオレがこの世界で集めた剣の軍。無敵だと自負することができる幾本もの剣。その総ての切っ先を、目の前の敵へ向ける。
最早、ここに来て出し惜しみなど愚策。切り札の発動を狙って動けば、間違いなく死ぬ。ならば今あるものを使い尽くす。後先のことなど考えなくていい。
今、この瞬間。オレが持つ全てを掻き集め、打ち倒す!
「舞えッ!!」
号令を下された剣軍
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