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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第21話 木山の過去
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れなれしい
加えて......すぐに懐いてしまうし

研究の為とはいえ、厄介な仕事を押し付けられてしまった。
実験が成功するまでの辛抱だと思って慣れない教師生活をした。

教室に入れば水を掛けられる悪戯を受け
廊下で会えば、彼氏の詮索もしてくる
勉強を教えるだけではない、変な事を山ほど抱えてくる。

ある雨の日の帰り道。学校終わりに家路へと向かう木山が道を右に曲がった時。
カチューシャを付けた女子生徒がぬかるみに転んでしまい、泥だらけになっていた。
「どうした?」
「あ、木山センセー......アハハ、ぬかるんでて転んじゃった」
頭の掻きながら女子生徒は頬に付いた泥を落とすことなく作り笑顔を出した。
「私のマンションはすぐそこだが風呂を貸そうか?」
「いいのっ?」
その言葉を掛けただけで女子生徒は、キラキラとした眼で木山を見上げた。
社交辞令のつもりだったが
やはり、まだ子供。

「わー、お風呂だあ」
汚れた衣服を脱ぎ、お湯が溜まっていく様子を嬉しそうに眺めながら言った。
「?何か珍しいのか?」
「うちの施設、週二回のシャワーだけだもん!本当に入っていいの?」
「......ああ」
たかが、風呂だけでそれほど喜べるものだろうか?
環境が環境だからだろうか?
親がいないというだけで......
「やったー!みんなに自慢しちゃお!」
下着を脱ぎ出すと沸かしたての贅沢なお風呂へと足を踏み入れる。
「わ、熱いけど気持ちいー」
暖かいね
気持ちいいね
入り慣れているものには、普段感じないような風呂の様子を感じている。
風呂に入りながら、明日はどうしていようとか、今日は何であんな事をしてしまったのか......塞ぎがちになるが
そんなモノはなくて。
全力に今感じている『楽しい』を堪能している。

木山は、女子生徒が脱いだ肌着を洗濯機に放り込むとスイッチを入れて洗濯を開始する。
「センセー、私でもがんばったら大能力者(レベル4)とか超能力者(レベル5)になれるかなぁ?」
不意に風呂に入っている女子生徒が質問してきた。

「今の段階では何とも言えないな。生まれ持った資質にもよるが今後の努力次第といったところか。高レベル能力者に憧れがあるのか?」
子供目線で話すなんて器用な真似はできない。
「んーもちろん、それもあるけど。私達は学園都市に育ててもらっているから......この街の役に立てるようになりたいなーって」

その無垢で直向きな性格が悪用されることになろうとは考えなかった。

洗濯物が乾くまで女子生徒をソファーに座らせたがスヤスヤと眠ってしまった。
傍らに座りながらコーヒーを飲んでいる木山。

職場でも家でも、こうも子供に囲まれてしまうとは。
研究の時間がなくなって
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