第21話 木山の過去
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てられた子供がどんなことになるか知っていたのだろう?教師となり子供を懐柔し、実験に向かわせた」
「違う......」
「信じこませ、自分に懐かせて......何ヶ月も掛けて準備をした」
「違う......」
「大層な実験だな。何をされるか知らぬ子供の前に立って平気な顔をして、実験の段取りをつける......さぞ目論見通りに進んで気分が良かっただろう」
「違う違う違う違う違う違う違う違うー!」
サソリの追い詰めてくる言葉に頭を抱えて拒絶した。
わ、私は何も聞かされていなかった
あんなことになるなんて思わなかった
サソリの言葉を頭から否定した木山だったが服の裾を引っ張る感触に下を向いた。
そこにはカチューシャを付けたソバカスだらけの女の子が木山を見上げていた。
「センセー......私達を利用したの?」
「あ......ああああ」
「いっぱいお金を貰うため?」
「違う」
「良い実験をするため?」
「違う」
「答えてよ......私達、こんな姿になっちゃったよ」
いつの間にか、クラス中の生徒が集まり、一様に頭から夥しい数の出血をして真っ赤に染まった顔の中で目玉だけがギョロッと木山に向けた。
「あ、ああああああああああああー!」
鼻につくキツイ薬品の匂い。
鳴り響く事故を知らせるアラーム音。
運ばれていく子供達。
血生臭いシーツ。
動かない身体。
信じてたのに......木山センセー
最初は実験を成功させるまでの辛抱だと思った。
研究をしていた木山に組織の元締に呼び出されて任されたのが学園都市に置き去りにされた子供達の教師だった。
教師になろうとか成りたいと考えたこともない。
ただ、大学での取得単位でついでに取れただけの資格だ。
「私は研究に専念したいのですが」
「何事も経験だよ木山君ーーー」
「聞いて下さい博士」
研究棟の外では置き去りにされた年端も行かぬ子供達が球技で遊んでいた。
「表の子供達......彼らは『置き去り(チャイルドエラー)』と言ってね。何らかの事情で学園都市に捨てられた身寄りのない子供達だ」
元締から聞かされた話は、その子供達が今回の実験の被験者であり、木山が担当する生徒になる。
実験を成功させるには、被験者の詳細な成長データを取り、細心の注意をはらって調整を行う必要がある。
だったら担任として直接受け持った方が手間が省けるということだ。
上手くいけば、統括理事会肝入りの実験を任せたいと思っている。
期待しているよ。
それから簡単な書類と手続きでいとも容易く、私は教壇に立っていた。
はっきり言ってしまえば『子供は嫌い』だった。
騒がしいし
デリカシーがない
失礼だし
悪戯するし
話は論理的じゃない
な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ